インプレスグループでIT関連出版メディア事業、およびパートナー出版事業、デジタルメディア&サービス事業を展開するインプレスのシンクタンク部門であるインプレス総合研究所の調査によると2014年度の電子書籍市場規模は前年比35%増の1,266億円、電子雑誌市場規模は前年比88%増の145億円となったという。
この調査は、「通信事業者」「出版社」「電子書籍ストア」「取次事業者」「ポータルサイト」「コンテンツプロバイダー」等の主要な電子書籍関連事業者へのヒアリング調査、ユーザーへのアンケート等を分析したもの。
具体的には2014年度の電子書籍市場規模は1,266億円と推計され、2013年度の936億円から330億円(35.3%)増加しているという。電子雑誌市場規模は145億円(対前年比88.3%増)と推計され、電子書籍と電子雑誌を合わせた電子出版市場は1,411億円となったとしている。
電子書籍市場は、スマートフォンやタブレットユーザーの増加をベースに、テレビCM等の広告宣伝による電子書籍ユーザーの拡大、電子書籍ストアや出版社によるキャンペーンの拡大によるユーザーの平均購入量の増加が続いている。また、ジャンル別には電子コミックが市場を牽引しており、まとめ買いや、ライトユーザー向けの電子コミックも好調が続いているという。その他、無料マンガ雑誌アプリの普及や、電子書籍ストアが提供する電子コミックの無料連載をきっかけに電子コミックの購入に至るケースも増えているとしている。
一方、電子雑誌は、配信雑誌数や電子書籍ストアでの取り扱いが引き続き拡大しており、メジャーなコミック誌の月額課金モデルの配信等も始まっている。加えて、携帯電話会社等が提供する月額課金の読み放題サービスの利用者が大幅に拡大している。
そして、2015年度以降の日本の電子書籍市場は今後も拡大基調で、2019年度には2014年度の2.3倍の2,890億円程度になると予測している。今後もスマートフォンやタブレット等のデバイスの進化や保有者の増加をベースに、認知度の拡大や利便性の向上による利用率の上昇、紙の書籍との同時発売の増加、電子書籍ストアのマーケティングノウハウの蓄積、電子オリジナルのコンテンツや付加価値のついた電子書籍の販売、セルフパブリッシングの拡大等により、2015年度以降も拡大が続くと予想している。
また、コミックに比べ電子化率も低くシェアも小さい小説等の文字ものの分野においても、著名な作家の電子化作品が増加すること等が予想され、徐々にシェアが大きくなると見られるという。
電子雑誌は、大画面で高精細なスマートフォンやタブレットの普及をベースに、月額課金モデルのコミック誌や月額定額制の読み放題サービスの利用者の増加を予測している。また、電子雑誌広告市場の形成による電子雑誌配信の本格化なども想定され、引き続き市場の拡大が見込まれるという。2019年度には510億円程度になると予測され、電子書籍とあわせた電子出版市場は3,400億円程度と予測している。(編集担当:慶尾六郎)