2016年の幕開け。安倍晋三総理は2016年の年頭所感を「築城3年、落城1日」との表現で、緊張感を持って政権運営にあたる姿勢を鮮明に示した。憲法改正視野に勝負の年になるとの思いも背景にありそう。
安倍総理は所感冒頭に東日本大震災からの復興をあげ「復興は、新たなステージに移ろうとしている」と力強く前進していることを示すとともに、もっとも優先すべき課題としていることを冒頭に取り上げることで示した。
そして、次に取り上げたのは「地球儀を俯瞰する視点で展開してきた平和外交、経済外交」だった。中でも、PKO活動に「駆けつけ警護」を可能とした法整備を含め、平和安全法制ができたことは「あらゆる事態に万全の備えを行い、戦争を未然に防ぐ」こととなり、「私たちの子や孫の世代に平和な日本を引き渡していく基盤を築くこともできた」と、安保法制の意義を強く説いた。
今も国論を二分している安保法制に対し、平和な日本を次世代に引き渡せる基盤をつくったものなのだと改めて理解を求めたものと受け取れる。
安倍総理は「政府には常に国民の厳しい目が注がれている。そのことを肝に銘じ、さらに高い緊張感を持って、政権運営にあたっていかなければならない」とし「その思いを、新年にあたって、新たにしている」と発信した。
1億総活躍社会、新たに掲げられた「GDP600兆円」、「希望出生率1.8」、「介護離職ゼロ」への実現性への議論はもちろん、さきの国会で強行に成立させた安保法制、課題山積のTPPなど、大きな課題が4日からの通常国会で本格議論に入る。
日韓外相会談での慰安婦問題を巡る合意へ、歴史に残る判断を行った安倍総理を筆者は高く評価している。慰安婦像をめぐる問題への今後の韓国政府の苦労も察するにあまりあるが、この問題に両国政府が努力し、終止符を打つことこそ、日韓関係・日米韓関係の安保を含む多分野の深化を図るうえで極めて重要な事案。
国民の1人として、慰安婦問題での日韓両国政府の合意の実行と成果を見守りたい。また今年は安倍政権にとって憲法改正が手にとどくかどうか、勝負の年になるだろう。安倍政権の取り組み、夏の参院選挙、野党の動きに注視していきたい。(編集担当:森高龍二)