2013年1月9日の「税制調査会幹部らによる与党税制協議会」の初会合で税制改革大綱を1月24日に取りまとめることが確認された。その際に自動車を購入するときに発生する自動車取得税と車検時ごとに徴収される自動車重量税の「見直し」が取りざたされた。
日本国内での自動車販売に関わる税金は自動車税、自動車取得税、自動車重量税と似たような税金が同時に課せられる。これについてはかねてから業界からも見直し論や廃止論があった。エコカー補助金制度が終了し、消費税率のアップがほぼ確実なため、自動車の国内販売は中期的には見通しも暗い。
そうした状況での取得税と重量税との見直しには業界もいろめきだった。ただし両税で9000億円(取得税:約2000億円/重量税:約7000億円)にものぼるため代替財源の捻出は難しいだろうという意見が当初からあり、民主党がかつてぶち上げたまま終わったガソリンに関する税制の見直しと同じ結果になるのではないかという懸念を示す専門家もいた。
実際に20日に開かれた政府・自民党の会合でも、代替財源が見つからないことや税収減を心配する地方からの意見を反映させるようで、自動車重量税は温存。自動車取得税だけを廃止する方向が税制改革大綱にもりこまれる模様。
自動車取得税は車両の課税標準基準額とカーナビなど課税対象の付加物を合わせた取得価額の5%が目安となる。2014年に予想通り消費税が8%になれば、自動車購入時の取得税の廃止分による恩恵はごくわずか。これで購買欲を刺激することができるかどうかは疑問だ。「2重、3重の課税」という問題も根本的には解決しない。しかし、代替財源のために新たな税制や別の税金で結果的に増税になることは、今のところ避けられそう。わずかな減税と既定路線の増税を甘んじて受け入れたほうが賢明なのかもしれない。(編集担当:帯津冨佐雄)