ヤマハ発動機のコンセプトカー「SPORTS RIDE Concept」が「日本カーデザイン賞2015-2016」大賞受賞

2016年01月23日 19:42

Yamaha

彫りの深い特徴的なフロントフェイス。ディテールにこだわりデザインしたスポーツカーの提案モデル「SPORTS RIDE Concept」は、昨年の東京モーターショー会期中に話題となったモデルのひとつだ

 昨年10月に開催された第44回東京モーターショーで、ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)が意欲的な四輪2座スポーツカーのコンセプトモデルを出展したのは記憶に新しい。そのデザインコンセプトモデル「SPORTS RIDE Concept」が、三栄書房発行の自動車デザイン専門誌「CAR STYLING」の「日本カーデザイン大賞2015-2016」において、コンセプトカー部門で大賞にあたる「ゴールデンマーカートロフィーを受賞した。

 「SPORTS RIDE Concept」は、大人が日常的に楽しめる正統派のスポーツカー・プロポーションに、多様なモビリティを展開するヤマハらしい発想による「LIVE & RIDE」感を盛り込んだデザインコンセプトモデルだ。

 「CAR STYLING」誌は受賞理由を、「自動車市場に良い刺激を与える存在となりました。また、その楽しさを単にクルマとして捉えるのではなく、2輪車の爽快感を4輪車に落とし込むという手法も、非常に興味深いポイントとなりました。また、ヤマハブランドとして、楽器やオーディオといった製品テイストを随所に活かして来た点は、これまでになかった商品展開として大いに期待が持てる」とした。

 「SPORTS RIDE Concept」は、その基本構造に、F1マシンのデザイン法人として有名なゴードン・マーレイ デザイン社が提唱する軽量で高い剛性を持った「iStreamコンセプト」を採用。ドライバーとマシンの関係を2輪車に近い世界観で表現した。高品位なディテールにこだわってデザインしたスポーツカーだ。

 ゴードン・マーレイ氏は著名な自動車デザイナーで、数多くのF1マシンやマクラーレン製ロードカーをデザインしたことで知られる。同氏はヤマハのほか、英ロータスや英TVRのデザイン顧問としても活動している。

 ゴードン・マーレイ デザイン社による「iStream コンセプト」のシャシー構造は鋼管フレームとカーボンコンポジットを複合的に組み合わせており、ヤマハはこの骨格を使うことで、今回のミッドシップレイアウトの「SPORTS RIDE Concept」や、前回の東京モーターショー2013で展示したシティカー「MOTIV」、はてはSUVにまで流用可能だという。

 ミッドシップレイアウトと書いたが、ヤマハのリリースには、パワートレーンや駆動方式に関する記載は一切ない。筆者の勝手な憶測だが、シャシーコンポーネントを見る限り運転席後方にしかエンジンを搭載するスペースは無い。室内にプロペラシャフトや排気管が貫通するようなセンタートンネルも無い。

 漏れ伝わる情報によると、搭載エンジンは1リッター直列3気筒だという。海外で生産している同社スポーツバギーが同形式3気筒エンジンを搭載しているので、そのユニットをヤマハ流にチューンして搭載することは難しくはないはず。筆者の想像ではこのエンジンをリアアクスル前方に横置き搭載するミッドシップとなる。展示車両のマフラーはリアエンドの上部中央に2本出しとなっていた。その直下にリアフォグランプがレイアウトされていた。

 発表によるとボディサイズは全長×全幅×全高3900×1720×1170mm、車両の重量は750kgと非常にコンパクトで軽量だ。コクピットを見ると2ペダルレイアウトで、シフトレバーが無いので、ステアリングのスイッチで変速するセミオートマティックを採用しているようだ。タイヤは前後異径のBS製17インチを装着していた。

 「日本カーデザイン大賞」は毎年、三栄書房の「CAR STYLING」誌が主催する自動車デザインのナンバーワンを決めるデザイン賞で、なかでも「ゴールデンマーカートロフィー」は、量産車、コンセプトカーそれぞれの部門の大賞に与えられるアワード。「SPORTS RIDE Concept」が市販化されるかどうか、それには市場の声の後押しが必要で、今回のアワードが背中を押してくれることに期待したい。(編集担当:吉田恒)