関西初の「キッズデザインミーティング」。ビジネスと消費者の新しい接点とは?

2016年02月06日 19:11

キッズデザイン

グランフロント大阪(北館)にて開催された「キッズデザインミーティング in KANSAI. 」社会に求められ、新しいビジネスの可能性にもつなげるための活発な意見交換が行われた

 1月30日(土)から2月4日(木)の6日間にわたり、グランフロント北館ナレッジキャピタル2階アクティブスタジオにおいて、内閣府認証NPO法人キッズデザイン協議会主催「キッズデザイン展 in KANSAI」が開催され、多くの来場者で賑わった。

 会場では、2015 年第9回キッズデザイン賞を受賞した「ルナ ドリームカプセル プロジェクト」や「スペースウォーカー」「クリムボン」などの体験コーナーが設置されたほか、グランフロント大阪の各企業施設でも「キッズデザイン展」をテーマにした展示が行われたり、阪急うめだ本店のベビー・子供服売場でも連動企画として「キッズデザインフェア」が催されるなど、親子連れの客を中心に大いに盛り上がった。

 中でも、今回注目された企画は、2月2日に行われた「キッズデザインミーティング in KANSAI.」だ。120名を超える参加者で賑わった会場では、サブタイトルに「いま社会に求められる製品・サービスとは?それを見つけ出す視点がここに!」とある通り、キッズデザインを福祉やファッションではなく、ビジネスの新しい視点としてとらえ、キッズデザインの成功事例や受賞作品の開発秘話などをもとに、各社のプレゼンテーターたちが登壇して熱い話を繰り広げた。

 冒頭のあいさつに立った、主催者の特定非営利法人キッズデザイン協議会会長の和田勇氏(積水ハウス<1928>会長兼CEO)が登壇し、キッズデザイン協議会が掲げる3つのデザインミッション「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」「子どもたちを産み育てやすいデザイン」について述べた後、「今年はキッズデザイン協議会設立10年の節目の年、国内外へキッズデザインの認知と輪をさらに広げていく」と意気込みを語った。

 話題のキッズデザインの成功事例としては「新世代ママのターゲット像とMD化の視点~うめはんママプロジェクト~」と題した「うめはんママ」の取り組みだ。阪急阪神百貨店の子供服商品統括部長 由本雅則氏とバイヤー/うめはんママ担当の中島恵理子氏が登壇し、「うめはんママ」の取り組みを、実際に子育てママ視点の商品の紹介なども交えながら解説した。「うめはんママ」は、読者モデルのように子育てをカッコ良く、おしゃれを楽しみながら生活するママたちが、市場モニターとしてではなく、商品開発や売り場づくりに携わり、さらにはSNSなどで自らの生き方や子育てスタイルを発信する新手法に取り組んでいるものだ。

 また、キッズデザイン賞受賞作品開発ストーリーとして、積水ハウスとマツダ株式会社<7261>の二社が登壇した。積水ハウスのプレゼンテーション「子どもの生きる力を育む住まい〜積水ハウスのキッズデザイン〜」では、同社の総合住宅研究所課長・ライフスタイル 研究開発グループリーダーの河崎由美子氏が、第7回経済産業大臣賞を受賞した生活提案「コドモイドコロ」を取り入れた「コドモ里山ラボ 東京森都心」の事例を紹介しながら、家族が自然と集いやすい、床を一段くぼませた「ピットリビング」や窓と一体になったデスク「マドベ」など、大人でもわくわくするような新たな教育の視点も提案しつつ、積水ハウスのキッズデザイン「子どもの生きる力を育む住まい」の内容及び背景となっている子育ち研究についての紹介を行った。

 マツダ株式会社 商品戦略本部技術企画部マネージャーの伊東哲夫氏は、映像資料を交えながら、車社会における子どもたちの安全・安心への取り組み「マツダテクノロジーフォーキッズ」と、同社が取り組む、大人の中の子ども心を刺激する商品開発について紹介した。

 その後、登壇者が揃ってのパネルディスカッションでは活発な議論がなされ、充実したミーティングとなった。マーケティングでは、関西で当たれば、全国で勝算があると言われている。キッズデザインのもたらす新しいビジネスの可能性、そして、モノづくりのベースがあり、生活関連企業が拠点を置く関西での新しい取り組み、ソーシャルビジネスの新たな展開に期待が高まる。(編集担当:藤原伊織)