“子ども目線”の産業競争力とは

2013年08月10日 19:25

 第7回となる「キッズデザイン賞」が7月29日に決定し、本年度から新たに「内閣総理大臣賞」が新設され、株式会社JVCケンウッド/NPO法人Earth Literacy Programのデジタル型の地球儀「触れる地球 中型普及版」が栄えある最初の最優秀賞に輝いた。

 また、優秀賞「経済産業大臣賞」には、森永乳業株式会社<2264>の「MOW(モウ)シリーズ」、タイガー魔法瓶株式会社の「転倒流水防止構造つき蒸気レス電気ケトル」、NHK(日本放送協会)、NHKエデュケーショナル/21_21DESIGNSIGHT/公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団の「「デザインあ」番組及び展覧会を通じたデザイン教育」、積水ハウス株式会社<1928>/株式会社アクタス/コクヨ株式会社<7984>/株式会社ジャクエツ/パナソニック株式会社<6752>のキッズデザイン体験施設「コドモ里山ラボ 東京森都心」の4作品が受賞。優秀賞「少子化対策担当大臣賞」には、コンビウィズ株式会社の「ベビー休憩室コンセプトブック」(子どもの産み育て支援デザイン:個人・家庭部門)、アトリエ・アースワークの「有田市立そとはま保育所」、優秀賞「消費者担当大臣賞」には、株式会社丹青社の「静岡市こどもクリエイティブタウン『ま・あ・る』による「しごと・ものづくり体験」」がそれぞれ受賞した。

 また、会長賞には、公益財団法人チャイルド・ケモ・サポート基金/NPO法人 チャイルド・ケモ・ハウス/手塚貴晴+手塚由比/手塚建築研究所/積水ハウス株式会社による「小児がん治療中の子どもたちとその家族のための夢の治療環境・『チャイルド・ケモ・ハウス』」や、大湖産業株式会社のコードレスブラインドシリーズ「コードフリー」、甲斐智恵/内山俊朗(筑波大学)の「ものとこどもの観察ブック」など、12作品が受賞した。

 キッズデザイン賞は2006年にはじまった顕彰制度で、「子どもが安全に暮らす」「子どもが感性や創造性豊かに育つ」「子どもを産み育てやすい社会をつくる」ための、すべての製品・空間・サービスの中から優れたものを選出し、広く社会へ伝えることを目的としている。実際に子どもが使う製品はもちろんだが、一般向けに開発されたものでも、子どもや子育てへの配慮があれば対象となる。今回は、自動車業界からの参加もあった。

 キッズデザイン賞第7回の総括および今後の活動について、キッズデザイン協議会会長であり、積水ハウスの代表取締役会長兼CEOでもある和田勇氏が語った表彰式でのコメントでは、「キッズデザインは子どもたちの健やかな発達につながる社会環境をデザインの力で役立てようとするものです。子どもを事故から守るというベーシックなものも大切ですが、そこにとどまらず、子どもたちを産み育てやすい社会づくりといった攻めの視点も大切です。企業やデザイナーが、競って子ども目線でモノやサービスをつくる社会が当たり前になってほしい。」との事。

 また、これからの展望については、「これからキッズデザインを普及させるにあったっては、全産業への広がりが必要です。今回は、自動車業界からの参加もありました。また、キッズデザインの対象製品にみられるような、きめ細かい安全配慮技術やサービスは、日本企業の得意分野でもあり、世界に打って出られる競争力のある分野だといえます。政府のかかげる「クールジャパン戦略」のひとつにも位置づけられるのではないでしょうか」

 和田協議会会長の言葉にもあるように、繊細なサービスや気配りの行き届いた製品は日本ブランドの得意とするところだ。今後、キッズデザイン賞の普及と、応募作品の充実、参加産業分野の拡大は、これからの日本の技術力、産業力、競争力を推し測る上でも大変興味深いものとなりそうだ。(編集担当:藤原伊織)