兼松<8020>とモーションが、EVタクシーからの急速充電器の自動予約機能の稼働実験を、関西国際空港に設置された急速充電器を活用して実施すると発表。「環境省 平成24年度地球温暖化対策技術開発・実証研究事業/EVタクシーの実用化促進と運用方法確立のための実証研究」に基づくもので、稼働期間は平成25年1月28日から2月28日までの1か月を予定。大阪府、日本ユニシス の協力を得て実施されるとのこと。
本事業のEVタクシー運行最適化システム(EVOTシステム)における自動予約機能は、EVタクシーの電池残量をリアルタイムでチェックして、当該タクシーが関西国際空港近隣に客を送迎した際に電池残量が一定未満になると算定された場合、自動的に到着時間を予測して急速充電器の利用予約を行うもの。充電待ち時間による営業時間の逸失を最小限に抑えることがその目的だという。対象となるEVタクシー車両は、本事業に参加している大阪府内の34台で、その他の一般車両からは自動予約機能の利用はできないとのこと。
関西国際空港の急速充電器は、展望ホール駐車場内に設置されている。充電料金は無料である一方、別途駐車料金が必要な充電設備となっている。当然、一般のEVユーザーも利用するものであり、EVタクシー専用ではなく、今回の稼働実験に合わせて専用の急速充電器を設置するわけでもない。となると、自動予約された時間の数分前に急速充電器を利用しようとした一般ユーザーは、機械は空いているにも関わらず、利用できないことになる。EVタクシーの充電待ち時間による営業時間の逸失を最小限に抑えるために、一般ユーザーが不利益を被る可能性があるということであろう。なかなか軌道に乗らないEVの普及を目指す方々は、「温室効果ガス排出量削減」という紋所の下、どこか利己的な取り組みばかりを実施しているように思えるのは、気のせいであろうか。(編集担当:井畑学)