【日経平均】15秒間の11000円台の後、終値は3ケタ安

2013年01月28日 19:27

 前週末25日のNYダウはP&Gやマイクロソフトなど大手企業の決算が好調で、70ドル高で6日続伸。28日朝の為替レートはドル円が91円台前半、ユーロ円が122円台後半で、円安がさらに進行した。日経平均始値は76.21円高の11002.86円と2年9ヵ月ぶりに11000円台の大台に乗せ、東証アローズでは拍手も起きたが、大台は15秒間だけ。降りた後、午前10時過ぎからズルズル下げて10900円も割り込んだ。ドル円が90円台に逆戻りしたのが要因だが、大台タッチの達成感もありそうだ。後場も先物と歩調を合わせた下げが止まらず、通常国会が開会して安倍首相が所信表明演説をしても反応なし。終値は102.34円安の10824.31円で、「寄り天の安値引け」で朝から148.55円も下落した。こんな日でも売買高は30億株を超えた。TOPIXは前場は健闘したが結局-3.31の913.78だった。

 業種別騰落率がプラスだったのは鉱業、その他金融、証券、その他製品、小売など9業種。マイナス幅が大きかったのは海運、ガラス・土石、非鉄金属、水産・農林、電気・ガスなどだった。

 「その他金融」を2位に押し上げたのは「ノンバンク大商い兄弟」のオリコ<8585>とアイフル<8515>で、オリコは32円高で売買高5位、売買代金7位。アイフルは68円高で値上がり率12位に入り、売買高は1億株を超えて3位、売買代金は2位だった。相場が悪くてもこの兄弟の周辺だけは妙に明るい。

 2012年の世界の新車販売台数ランキングが発表され、トヨタ は1位に返り咲いたが売買代金4位でも25円安と株価はふるわなかった。このところ商いが活発なマツダ<7261>は売買高2位、売買代金8位に入りながら値動きなし。ただ、自動車株の中で今ひとつ出遅れ感があった日産は売買代金10位と買いを集め21円高で昨年来高値を更新した。中国での販売不振が12月も続いたホンダ<7267>は20円安だった。

 武田<4502>はアメリカで糖尿病の新薬の販売許可を取得したニュースが好感され65円高。大和ハウス<1925>、セブン&アイHD<3382>は昨年来高値を更新。よみうりランド<9671>が値上がり率3位に入り、東京ドーム<9681>、東京都競馬<9672>など含み資産株が揃って上げて存在感を示していた。

 この日は、いつも低位株ばかりの値下がり率ランキング上位に珍しく大型株、値がさ株が顔を揃えた。4位は前週、業績予想を下方修正したファナック<6954>で、この日も下げ止まらず4ケタの1020円安。売買代金3位で日経平均を40円も押し下げた。5位は防衛省への過大請求の問題が報じられた島津製作所<7701>。6位はアップル決算ショックが尾を引き営業益下振れ観測も出たアドバンテスト<6857>で、70円安で日経平均を5円押し下げた。9位には三菱電機<6503>、10位には大日本スクリーン<7735>と、大手メーカーが入っている。日本電産<6594>は4日続落し、信越化学<4063>も売られた。

 新興市場はこの日もiPS細胞と関係があってもなくてもバイオ関連株がにぎわってストップ高が続出。マザーズ、ジャスダックの指数はプラスで、東証1部でも小型株指数はプラスだった。連日好調なユーグレナ<2931>、ガンホー<3765>、ナノキャリア<4974>、タカラバイオ<4571>あたりは、もし東証1部に指定替えになったら大ブレークしそうだ。

 今日の主役は「家庭用ゲーム機」関連銘柄。中国は2000年から「Wii」「プレイステーション」「Xbox」など家庭用ゲーム機の製造、販売、輸入を禁止してきたが、この日、中国政府がその見直しに動き始めたという報道が流れた。「Wii U」の任天堂<7974>は一時1万円台を回復するなど320円高と好調。SCEで「プレステ3」を出しているソニー<6758>は、証券会社の投資判断の引き上げが相次いでいることもあり117円高で、売買高4位、売買代金1位と買われた。ナスダックで「Xbox」を出しているマイクロソフトの株価がどうなるか注目される。スマホのソーシャルゲームと比べると「旧世代」のイメージを持たれがちな家庭用ゲーム機だが、欧米市場ではいまだに主流で、韓国のサムスンは昨年、新規参入すると発表した。(編集担当:寺尾淳)