WHOは世界各国に対し、ジカウイルスの感染が確認されている地域に渡航した人々からの献血を受け入れないように勧告した。同ウイルスは中南米で爆発的に拡がっており、感染者数が最大で400万人に達する可能性があるという。
先日、WHO(世界保健機構)は世界各国に対し、ジカウイルスの感染が確認されている地域に渡航した人々からの献血を受け入れないように勧告した。同ウイルスは中南米で爆発的に拡がっており、感染者数が最大で400万人に達する可能性があるという。
ブラジルはリオ五輪まであと半年と迫っているが、同ウイルスとの関係が指摘されている「小頭症」の疑い例が急激に増加。小頭症にかかった胎児は頭部が異常に小さい状態で生まれる。ブラジル保健省によると、同国の小頭症の発症例は年間平均163件であったが、ジカ熱の感染拡大以降、3718件を超える疑い例が報告されている。すでに新生児68人が死亡した。
ジカ感染と新生児の先天性発達や神経障害との関連性はまだ確認されていないが、「強く疑われている」とチャン事務局長が指摘。蚊が媒介する同ウイルスは1947年にウガンダで初めて確認されたが、ヒトが感染すると軽度の症状が見られる程度で、これまで問題視されていなかった。しかし、この度の流行は状況が劇的に異なり、「ギラン・バレー症候群」と呼ばれる神経障害と関係している可能性もあると考えられている。
コロンビア、エクアドル、エルサルバドル、ジャマイカの4か国と米自治領プエルトリコは、しばらくの間妊娠を避けるように呼びかけている。フランスは南米やカリブ海にあたる海外圏への渡航自粛を促し、日本は厚生労働省のホームページ上で流行地への渡航者に向けて注意喚起を行った。
イギリスでは4日から、ジカ感染が発生した国から帰国する全ての人に対して、28日間にわたり献血を禁止する予防措置を実施。カナダは帰国後3週間は献血に不適合とみなすと発表した。
ジカ熱の症状は頭痛、筋肉や関節の痛み、微熱、発疹など、軽症のインフルエンザと似ているという。感染者の7?8割がジカ熱に気づかないまま過ごしているのだ。
IAEA(国際原子力機関)はジカ熱対策として、原因のウイルスを運ぶ蚊の繁殖を放射線で抑える技術を関係国に指導していく方針。蚊を駆除するために殺虫剤を使うと、殺虫剤に強い蚊が生き残り、繁殖する恐れがある。そこで、人間の血を吸わないオスの蚊を放射線で不妊化させ、減少を図る。(編集担当:久保田雄城)