株式市場2015年の振り返りと2016年の展望

2016年01月06日 09:00

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「2万円」という数字が、2015年の株式市場の中心にあった。選挙イヤーの2016年は、「停滞の3年間」の最初の年になる。

 ■2万円への到達と「破竹の12連騰」の前半

 2015年の株式市場は大発会の1月5日、終値42.06円安の17408.71円と下落で始まった。しかし、1月第3週までの短期間の調整局面を抜けた後は、4月10日の2万円到達まで一貫して右肩上がりの上昇を続けた。1月28日にスカイマークが民事再生法の適用を申請し事実上倒産した出来事もあったが、日経平均のチャートは1~3月、ローソク足の週足が9週連続の陽線を記録している。

 4月の統一地方選挙で自民、公明の与党が圧勝。ゴールデンウィーク前後は日経平均が2万円を少し割り込む水準で推移していたが、例年よりも暑さが早くやってきた5月15日から6月1日にかけて「破竹の12連騰」を遂げ、6月24日にはザラ場の年初来高値20952.71円を記録している。その間、6月には世界のマーケットをゆるがしたギリシャ問題に一応の決着がついた。2015年前半の株式市場はおおむね順調で、「年末2万5000円か?」「年末3万円か?」といった強気な見通しも語られていた。

 ■「チャイナ・パニック」と立ち直りの後半

 7月、上海市場で1000以上の銘柄が株価の下落を恐れ、自ら取引所に申し出てその日の売買を取りやめてもらう「珍事」が起きた。日本の市場関係者は「そんなことが可能なのか?」といぶかったが、これは、その後に起こった由々しい事態の予兆だったと言えるかもしれない。日経平均は8日に2万円を割ったが、13日終値で回復している。

 8月11日に中国人民銀行が突然、20年以上もずっと一定だった人民元の対ドルレートを切り下げた。翌12日も連日の切り下げを行い、人民元の対ドルレートは8月17日までに5.5%下落した。それでも日経平均はこの時期は2万円台をキープしており、「2万円割れまではないだろう」という見方はまだ有力だった。

 だが、楽観的でいられたのは20033.52円でほぼ安値引けした8月20日まで。21日は597.69円安で2万円の大台をあっさり割り込み、週末をはさんだ24日は895.15円安、25日は733.98円安で17806.70円まで下落した。夏の終わりの3営業日で2226.82円も下げる「地獄の3日間」が出現。上海市場の暴落に連れ安したことから一般には「チャイナ・ショック」と呼ばれているが、「チャイナ・パニック」と言ってもおかしくない狼狽売りの嵐だった。

 8月28日に終値で19000円台を一時回復するが、その後は10月23日まで日経平均は17000~18000円台で低迷。9月29日にはザラ場で16901.49円まで下げた。その間、9月にはフォルクスワーゲンがアメリカで排ガスの検査データをごまかす事件が発覚し、ディーゼル車に社運を賭けていたマツダ<7261>の株価が急落。10月に入ると三井不動産<8801>の関連会社が分譲した横浜市都筑区のマンションで、虚偽データに基づいた工事によって建物が傾いた不祥事が発覚し、他のマンションにも疑いがひろがる出来事もあった。一方、10月5日にはTPP(環太平洋経済連携協定)交渉が閣僚会合で大筋合意に達している。

 11月4日、日本郵政<6178>、ゆうちょ銀行<7182>、かんぽ生命保険<7181>が同時に東証1部に上場するという2015年最大の新規IPOイベントがあった。株式投資のビギナーを巻き込んだ上場前後のお祭り騒ぎの中で日経平均も19000円台を一時回復し、11月には2万円回復を目指す右肩上がりの上昇が続いた。11月13日夜、フランス・パリの繁華街でISのテロリストが劇場やレストランを襲う同時多発テロが発生。1月に同じパリで起きた出版社へのテロと違って、不特定多数の市民の殺害を企てた。16日、テロ直後に世界で初めて開いた東京市場だったが、19000円台を堅持して翌日から右肩上がりのトレンドに復した。そして12月1日、日経平均は8月21日に割り込んだ2万円の大台を回復した。

 しかし、終値の2万円回復はこの1日だけで、12月は18500円以上20000円未満のレンジで動く。商品市場では原油先物価格の下落が進行し、NYMEX(ニューヨーク商品取引所)のWTI原油先物価格は1バレル40ドルを下回り、21日に33ドル台まで下げた。2014年央の100ドル台の実に3分の1の水準。原油安-NYダウ下落-為替のドル安円高-日経平均低迷という流れが続き、12月30日の終値は19033.71円で、大納会になんとか19000円台に戻って1年を終えた。

 その間、16日にアメリカのFOMCがFF金利の利上げを発表し、7年ぶりにゼロ金利政策を解除した。「いつ利上げに踏み切るか?」は2015年、ずっと言われ続けていた。日銀の追加金融緩和もまた毎回期待されていたが、12月18日に国債、ETFの買い入れ枠を手直しする「プチ緩和」を発表。速報で舞い上がって詳報で落胆し、その日の日経平均は2万円に迫った瞬間もあったが、まるで東京スカイツリーのような形で乱高下した。

 2015年は、日経平均が春に2万円を目指し、初夏に2万円台を固めて夏まで維持したが、夏の終わりに「チャイナ・パニック」で2万円台から地獄へ逆落とし。秋に低迷から立ち直って再び2万円を目指し一度はたどり着いたものの、冬の訪れとともに離れ、二度と取り戻せなかった。そのように中心にはいつも「2万円」という数字があった。