爆買いブームの後はやっぱり「おもてなし」で

2016年01月23日 21:27

 2015年の訪日外国人数が前年の1.5倍の1,974万人に達した。日本の出国者数を超えたという。その伸びは今後も続くとみられ、ビジネス界ではインバウンドをどうビジネスに取り込むかに知恵を絞っている。三越銀座店が「空港型」の市中免税店が開業するといった目立つ動きもあるが、「おもてなし」というソフトの部分に目を移そうという動きもある。

 西武ホールディングスは20日、訪日外国人向けの会員サービスプログラム「SEIBU PRINCE CLUB emi」を今夏から開始すると発表した。会員は、プリンスホテルや西武グループの施設で優待が受けられる。カードに「桜」のモチーフや着物の織りや染めをデザインし日本らしさを表現したという。プリンスホテルでは昨年1~11月実績で101万人の外国人客が宿泊したという。

 凸版印刷は、同社が運営する電子チラシサービス「Shufoo!」を活用して、訪日前や訪日中の外国人に対して買い物情報を届けるサービスを3月から提供開始する。国内外の旅行代理店や観光情報ポータルサイトなどと連携し、旅行サイトなどで情報を届ける。日本滞在中は、スマートフォンで観光情報や免税店を検索できるようにするなど外国人旅行者の買い物を支援する。チラシや情報を流す企業はチラシの運用負荷を小さくするメリットがあり、同社では、流通企業に対してサービスを拡販し、2017年3月末までに5,000店舗の導入を目指すという。
 
 ビジネスに特化したオンライン英会話「Bizmates」では、訪日外国人観光客の接客に焦点を当てた英会話プログラムの提供を昨年12月に始めた。新しくリリースしたのは法人向け「ホテル・レストラン・ショップ向けプログラム」。それぞれの業種のインバウンド対応で必要とされる英語での接客スキルを修得するだけでなく、英語を使っての「日本のおもてなし」を実現し、外国人観光客の満足度を上げ、結果的に売上向上につなげてもらうことを目的としていという。

 そして、行政を巻き込んでの「おもてなしの探求」も行われる。札幌市、日本マイクロソフト、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所は、「オープンデータによる都市全体の外国人観光客の受入環境整備事業」の実証実験をさっぽろ雪まつりなどで実施する。最先端の ICT の利活用による「おもてなし」を発信するために、オープンデータを活用した情報通信サービスにより課題解決するモデルケースを構築することが目的で、「FISジャンプワールドカップ2016 札幌大会」、「さっぽろ雪まつり」の来場者にオープンデータ(観光・施設情報、スポーツ情報、公共交通情報など)を活用して開発したアプリを利用してもらい、その有効性を検証する。「おもてなし」がどの程度分析できるのか、注目される。(編集担当:城西泰)