法政大学(東京都)はキャンパス内に1400台もの接続ポイントがあるが、通信量が急激に増加し、利用制限を余儀なくされた。その原因は学業とは関係のない、SNSや動画視聴、オンラインゲームといった「私的利用」だ。
近年、教育・研究を目的として、無線LANの接続ポイントを設けている大学が増えている。学業に励む学生にとってはこの上なく便利なサービスだが、深刻な問題が浮上しているという。法政大学(東京都)はキャンパス内に1400台もの接続ポイントがあるが、通信量が急激に増加し、利用制限を余儀なくされた。その原因は学業とは関係のない、SNSや動画視聴、オンラインゲームといった「私的利用」だ。
同大では、昨年の5月頃から学内でインターネットに繋がりにくい現象が見られるようになったという。調査を行ったところ、インターネット回線容量の約7割が私的利用に使われていることが判明。通信量が3年間で2倍にも増え、容量がほぼ全て使われている状態であった。
学内サービスや授業での利用がわずか3割という現状を受け、同年11月には「教育研究活動に重大な悪影響を及ぼす状況に近づいている」とし、学生らに不要・不急のインターネットの利用を控えるように求めたが、改善が見られず、今年1月上旬からインターネットの利用制限を開始した。ゲーム専用機からの接続やファイル共有ソフトの利用に制限を設けているとのことだ。
立教大学(東京都)も、学内のインターネットを一時的に制限したことがある。理由は法政大学と同様だ。アプリがダウンロードできる「Apple App Store」へのアクセスやTwitterの閲覧などを制限したという。
昨年、総務省が発表した「平成26年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、20代のSNSの利用率は95.0%、利用時間は平日の平均が91.1分で、いずれも年々増加している。毎日1時間半のペースでSNSを閲覧していたら、携帯電話会社の契約内容によっては「通信速度制限」が課せられてしまう。
通信速度制限を回避するために、学内のインターネットを利用していた学生も多いのではないだろうか。事情はともあれ、本来必要としている人たちに迷惑をかけてはいけない。学業のために多数の接続ポイントを整備した大学側の配慮を思うと、非常に残念である。(編集担当:久保田雄城)