国産ジェット旅客機MRJを開発する三菱航空機は16日、米国の航空機リース会社エアロリース社から20機(確定10機、オプション10機)を受注することで基本合意した。航空機リース会社との基本合意は今回が初めてで、三菱航空機は「MRJの金融資産としての優位性が評価された」としている。エアロリース社への納入は、2018年に開始する予定。
MRJはこれまでに407機を受注しており、今回の基本合意が確定すると合計受注機数は427機(確定233機、オプション170機、購入権24機)となる。MRJは三菱リージョナルジェットの略で、70~90席クラスの民間旅客機。世界最先端の技術を集め、大幅な燃費低減と騒音・排出ガスの削減、さらに快適な客室空間を実現したとしている。2015年11月11日に飛行試験機の初飛行を行っていた。森本浩通社長は「今回の基本合意はMRJの資産価値がマーケットで認められた証であり、今後のエアライン向けの受注活動にも大きく寄与するものと考えている」と喜んでいるのだが、MRJを巡っては、心配な要素もある。
初飛行から1カ月半後の12月24日に、量産初号機の納入時期を予定していた2017年4~6月を「1年程度」先に変更することを発表した。納期の延期は4度目となる。理由について同社では「初飛行やその後の試験飛行で機体の基本特性が良好であることを確認しているが、いくつかの課題を認識し、それらの対策のためにスケジュールを変更した」としている。
一方、ホンダのビジネス小型ジェット機「ホンダジェット」(定員7人)は好調だ。2015年12月8日に米国連邦航空局(FAA)から型式証明を取得すると、MRJの納期延期の発表の前日に当たる12月23日には顧客に対して量産第1号機を引き渡した。ホンダエアクラフトカンパニーの藤野道格社長は、「ついに大空へのモビリティの提供を実現した。近い将来、多くのホンダジェットが世界中の空港で見られるように努力を続けたい」と語った。
競合分野が違うとはいえ、大空での開発合戦はこれからも続く。(編集担当:城西泰)