オーストラリアにおいて最もメジャーで最大の販売量を誇り、1847創業という長い歴史をもつワインブランド「ジェイコブス・クリーク」から、革新的とも言える熟成法でつくったワインが発売される。「ジェイコブス・クリーク・ダブルバレル」だ。ワインのオールドワールドと呼ばれる伝統ある欧州では、ワインづくりに“規制”が多く、彼らには真似の出来ない手法で熟成した、ニューワールド豪州ならではの実験的ともいえる製法で新しいワインが誕生した。
この「ジェイコブス・クリーク・ダブルバレル」は、ワイン樽とウイスキー樽の二重熟成で仕上げたワインだ。円熟した果実味を持った厳選したブドウを使用して、ワインづくりの王道ともいえる伝統的なオーク樽で最高18カ月熟成した後、ウイスキー熟成に使った樽に詰め替えて、さらに数カ月寝かせ二次熟成したワインだ。この二重熟成「ダブルバレル」製法を用いることで、より芳醇で、何層にも重なる複雑味と、非常に滑らかな味わいに仕上げている。使用するブドウとウイスキー樽の種類が異なる2種類のワインが、3月7日に登場する。
今回、発表会でウイスキー樽熟成前のワインと二次熟成後のワインを比べながらテイスティングする機会が与えられた。そのテイスティングの印象を以下に記す。
ジェイコブス・クリーク・ダブルバレル「シラーズ」は、豪州産シラーズの産地として有名なバロッサ・ヴァレーのシラーズを使ったワイン。通常熟成後にスコッチウイスキー熟成に使ったバーボン樽で数カ月後熟させた製品だ。フルボディで芳醇な味わいが、ウイスキー樽で仕上げることによって丸みを帯びる。甘いレッドフルーツとダークチョコレートの魅惑的な香りをもたらし、バーボン樽が力強さをわずかに緩和し、驚くほど滑らかに仕上がっている。
ジェイコブス・クリーク・ダブルバレル「カベルネソーヴィニヨン」は、豪州クワナラの厳選した完熟ソーヴィニヨンを使い、通常熟成したワインをアイリッシュウイスキー熟成樽で二次熟成させた製品だ。その味わいは、はじめに明瞭なタンニンが口中に広がり、その後、熟したカシス、オリーブのタプナードと、複雑なニュアンスを感じさせる。ダブルバレル熟成が無数のフレーバーをまとめ上げ、卓越した豊かな味わいをもたらしている。
今回、新製品の発表のために来日したジェイコブス・クリーク最高醸造責任者のベン・ブライアント氏によると、「このワインづくりのイノベーティブな発想は3年前に生まれた。ウイスキーバレルは、ワイン樽に比べて樽を構成しているオーク材の幅が狭い。つまり、たくさんの継ぎ目がある。樽の内側を焼く方法もウイスキーバレルのほうが深い。二次熟成でワインが酸素に触れる機会が増え、滑らかさや馴染み感につながった。狙っていたとおりになった」と述べていた。
この「ジェイコブス・クリーク・ダブルバレル」は、本国オーストラリアで昨年7月から発売し、約半年で販売予定の1.5倍の売上(4万8000箱)を示し、大好評だという。日本での予想販売価格は、2000円/1本(750ml)だという。ワイン樽とウイスキー熟成樽の二重熟成という革新的なコンセプトから生まれた新しい赤ワイン。昨年ワイン売上が過去最高となった日本市場で受け入れられるか。(編集担当:吉田恒)