アサヒビール、堅調なワイン消費を睨んでオーストラリア産の中価格帯商品の拡販を狙う

2016年02月19日 20:25

ASAHI Katnook Wine

アサヒビールが市場に投入した中価格帯のオーストラリア・ワイン。「カトヌック・エステート」ブランドの4アイテム。左から、「カベルネ・ソーヴィニヨン」「シラーズ」「シャルドネ」「リースリング」。店頭想定価格は、赤ワイン4340円、白ワイン3840円(いずれも税別)

 国税庁の調査によると、ワインの消費数量はここ数年右肩上がりで増えており、2015年はバブル期の1998年を超え過去最高を記録した。「第7次ワインブーム」と呼ばれる活況を呈している。

 昨年、日本に輸入されたワインについての財務省の貿易統計を見ると、スパークリングワインを除いたワインで、チリ産が2013年に国別輸入量で伝統国のイタリアを抜き2位となった。が、そのわずか2年後の昨年2015年に、輸入量でフランス産を抜いて首位となった。2015年、チリ産は前年比118.1%の5159万リットルと伸長。一方、長年「輸入ワインの王者」として君臨してきたフランス産は同97.2%の5152万リットルとなり、わずかながらチリ産が上回った。チリワインの輸入量はこの10年間で約7倍規模に拡大し、イタリア産やスペイン産を大きく上回っている。

 チリ産ワインは、日本とチリの関税が段階的に引き下げられて手頃な価格で飲めることから需要が高まってきた。ニューワールドのワインは今後ますます注目を集めそうだ。ちなみに、輸入量2位以下を列挙すると、フランス、イタリア、スペイン、米国、オーストラリアとなっている。

 2012年からチリワインのブランド「サンタ・ヘレナ アルパカ」(750ml/店頭想定価格630~1080円)を扱うアサヒビールは、2015年の同ブランドの販売量は前年比2.8倍の101万ケース(1ケースは750mlで12本換算)に伸ばした。

 こうしたなか、同社は「中価格帯のワイン」にも注力するようだ。同じニューワールド・ワインのなかでも高い品質を誇るとされるオーストラリア・ウィンガーラ・ワイン・グループのワイン「カトヌック・エステート」ブランドの4アイテムを3月15日に販売開始した。

 オーストラリアには、数多くのワイン生産地があり多彩なワインが生産されている。コストパフォーマンスも高く、2015年の輸入実績は前年比137.0%/第6位の輸入数量となっている。さらにここでも日豪EPA(日本・オーストラリア経済連携協定)によりワインの関税が段階的に引き下げられ、2021年に撤廃されることが確定した。このことから今後さらに注目が高まるワイン産地とされている。

 新投入となる「カトヌック・エステート」は、プレミアムワインのワイナリー集積地として知られるクナワラ地区の自社畑ぶどうを選りすぐってつくった果実味あふれる高品質なワイン。なかでも「カベルネ・ソーヴィニヨン」はフランスのボルドーやカリフォルニアのナパと比肩する豊かな果実味と芳醇な味わいが特徴だ。さらに、冷涼な気候を活かしたエレガントな味わいの「シラーズ」、フルーティな味わいの「シャルドネ」、ドライな「リースリング」も高評価だ。

 アサヒビールでは、おもにホテルやレストランなどの業務用市場、デパートやワイン専門店などを中心に拡販していという。750mlボトルの店頭想定価格は、白ワイン3840円、赤ワイン4340円(いずれも税別)だとしている。(編集担当:吉田恒)