中国でも進むスマート化。中国の通信規格に最適なLSI

2016年03月12日 19:29

ロームLSI

ロームグループのラピスセミコンダクタが、中国市場向けに開発した業界トップクラスの無線通信LSI「ML7345C」。中国市場で成功をおさめ、スマート化の進む世界の無線コンテンツビジネスで、イニシアチブを確保できるか。

 昨今、住宅業界や家電業界を中心にIoTやM2Mという言葉を耳にする機会が急速に増えている。IoTとは、「Internet of Things」の略で、あらゆるモノがネットワークを介して繋がり、人の操作や入力作業を必要としなくても、モノ同士が自律的に最適な制御を行うシステムのことで、「モノのインターネット」と呼ばれることが多い。一方、M2Mは「Machine to Machine」の略で、機器同士がネットワークを介してつながり、相互で統合、制御、活用することができるシステムのことだ。様々なモノがオープンに繋がるIoTに比べ、M2Mは工場などの閉鎖的な環境下で利用されるのが特徴的だ。そういう意味では、IoT とM2M は似て非なるものといえる。ただし、IoTにもM2Mにも共通して必要なのが無線技術だ。そして、この無線技術で今、日本は世界の注目を集めている。

 社会のIoT化、M2M化が進んでいるのは、もちろん日本国内だけの話ではない。全世界的な傾向であり、とくに近年、「爆買い」などでも注目される中国市場でもIoT化・M2M化が加速し、スマートメーターの採用などが進んでいる。日本と同じく、商業ビルなどの照明や空調の制御、防犯・防災セキュリティをはじめ、農業など一次産業での収穫量向上や生産の最適化などでも、無線ネットワーク化が活発になっており、需要が拡大している。

 こうした中、ロームグループ<6963>のラピスセミコンダクタが、中国市場向けに、無線性能と環境安定性を持つ無線通信LSIを開発し、量産出荷を開始した。同LSI「ML7345C」は、中国の無線規格で最高特性が出るよう周波数帯域と送信パワー、受信感度をカスタマイズされた商品で、長距離無線通信と低消費電力が必要とされるアプリケーションに最適なサブギガ帯域(周波数1GHz以下)無線通信LSIだ。これを用いることでスマートメーターなど複雑な無線ネットワークの簡素化が可能となり、中国のスマート化への貢献が期待されている。

 今後ますます、世界中でスマートメーターやHEMSなどの採用が進み、社会のIoT化、M2M化が加速することは間違いないだろう。そんな中、日本企業だけでなく、韓国企業も無線コンテンツの輸出に本腰を入れはじめており、中国をはじめ、米国や欧州でも、無線コンテンツサービス市場のシェア争いが激化することが予測されている。今後のイニシアチブを確保するためにも、中国市場での成功は大きな意味を持つことだろう。(編集担当:藤原伊織)