NTTのIoT技術とトヨタのAI技術が融合 「ぶつからないクルマ」のデモを開始

2016年02月20日 21:19

 最近、各自動車メーカーでは、AI(人工知能)技術を活用した自動車の自動運転の実現に向けた取り組みを進めている。そこに、日本電信電話(NTT)<9432>が自社技術を活用して参加する。

 NTTは、将来のIoTインフラの提供に向け、ターゲットとしている自動車・交通分野でエッジコンピューティング技術を活用した研究開発を推進している。その中で、進めているICTを通じてパートナーとコラボレーションすることで新たな価値を提供する「新たなステージ」の一環として、トヨタ自動車<7203>、Preferred Networks社(PFN)とともに、「ぶつからないクルマ」のコンセプトを実動デモンストレーションとして具現化した。

 NTTでは、ネットワークのエッジに計算機能を持つサーバを分散して配置し、ユーザやスマートフォン、通信機能を持つ自動車等に近い位置で様々な処理を高速に行うとともに、複数の無線アクセス方式を組み合わせて確実にデータをやり取りする、高い信頼性と低遅延性を持つ IoTサービスの基盤技術の確立を目指しているという。

 自動車分野では、より安全な走行を提供するため、車両が持つセンサの情報に基づいて自律的に判断、注意喚起等をする運転支援に加え、車々間や路側設備、歩行者の持つ端末などとの連携による周辺の状況の共有と活用が必要となってきている。そこで、トヨタ、PFN、NTTの持つコンセプトや技術を持ち寄り、実動デモを作成した。

 今回実現したデモンストレーションでは、トヨタの考える人工知能を使った将来の運転支援のコンセプトを、NTTのエッジコンピューティング技術と高信頼無線技術と、PFNのぶつからない事象を学習するディープラーニング技術とその分散処理技術、を用いている。

 具体的には、自動車模型を使用し、各車が走行することで時々刻々変化する周囲環境に対して、衝突回避の動きを、エッジサーバで動作するPFN社の高度な人工知能により学習した。複数の車の学習状態を共有することで、学習に必要な時間も短縮した。サーバと車との通信では複数の無線アクセス方式を使い高い信頼性が保たれており、送られた学習結果を用いてそれぞれの車が自律的にぶつかることなく走行しているという。

 将来的には、エッジサーバ上で、たとえば複数の車や路側設備から送られるデータから、今周辺で何が起きているかといった動的で精密な交通空間情報を作る、交通渋滞等の分析・学習・予測をする、緊急時・災害時に車両の優先度付けを行う、など、より高度な処理を行うことで、リアルタイムに高度な運転支援をするために必要な情報を提供できるインフラ技術の確立を目指していく方針だ。(編集担当:慶尾六郎)