日揮がインドネシアでの新液体燃料製造実証プラント建設と試運転完了

2012年05月25日 11:00

 日揮が、インドネシアで進めてきた低品位炭を原料とする新液体燃料JCFを製造する実証プラント(年産約1万トン)の建設および試運転を完了し、5月24日デモンストレーション運転を開始したと発表。JCFの商業化に向けた活動が大きく前進したことになる。

 世界第4位の人口(約2億4000万人)を擁し、年6%強の経済発展が続いているインドネシア。一方で、原油生産量は減少し、2004年以降は原油の純輸入国に転じている。そのため一次エネルギー源の主体は石炭へシフトしつつあり、インドネシア政府は国内石炭資源の積極的活用を推進し、特に国内炭のうち約8割を占める低品位炭の有効活用をエネルギー政策における重要課題の一つに掲げているという。こうした中、日揮はインドネシア政府が推進する低品位炭の有効利用に資することを目的に、JCFを製造する実証プラントの設置を計画し2010年9月建設に着手、2011年11月プラントを完成しこれまで試運転を実施していた。

 JCFとは、低品位炭を高圧熱水により改質して発熱量を増加させた後、液体状のスラリー(粉末状の固体と液体の混合物)燃料に加工する日揮の開発した技術で製造される新液体燃料。輸送性・貯蔵性に優れ、重油と同等の燃焼性を持ち、重油の市場価格よりも約3-5割安の価格で提供することを目指しているという。

 日揮は、デモンストレーション運転を2014年3月まで実施し、並行して当社は2015年を目途にインドネシア国内で低品位炭の権益確保からJCF製造、そしてJCFを燃料とした発電などの事業の実現を目指す。

 新液体燃料とはいえ、もとは化石燃料である。今はひっ迫するエネルギー需要に対応するために必要であるが、いつかは再生可能エネルギーを利用する方向への転換を迫られるであろう。この新燃料は、その橋渡しの役割を担えるのであろうか。その動向に注目したい。