3月に入ると、化粧品や健康食品などで紫外線対策の文字を目にする機会が多くなる。紫外線は強い太陽の日差しがもたらすものであることから、真夏の7月、8月がピークのようにイメージしている人も多いようだが、紫外線のピークは6月の下旬。紫外線量が増え始めるのは、3月の終わり頃からで、4月、5月になると、その紫外線量はなんと、7月8月とほぼ同じになる。しかも、春先は薄着のうえ、どうしても油断して紫外線対策がおろそかになりがちだ。とくに、肌の奥深くまで届いてしまう紫外線UVAは5月がピークといわれており、それまでの対策が必要となる。
紫外線は言うまでもなく、シミやそばかすの元になるメラニンの生成を促すもので、ひどくなると、肌のたるみや乾燥の原因にもなる。いつまでも若々しく美しい素肌を保つためには、3月頃からの早めの紫外線対策が欠かせない。
化粧品業界売り上げトップの資生堂<4911>の「UVホワイト」シリーズや、花王<4452>の「ビオレさらさらUV」シリーズなど、大手各社はこぞって積極的な商品展開を行っているが、最近は店頭だけでなく、インターネット通販や口コミで売り上げを伸ばしている企業もある。また、カネボウの「ミラノコレクション フェースアップパウダー」のように、1991年のブランド誕生以来、期間限定の販売ながら絶大な人気を得ている商品もある。ちなみに2015年末に販売された「ミラノコレクション2016」のテーマは、芽生えの天使。保湿成分にエーデルワイスエキスとローヤルゼリーエキスを配合し、しっとりなめらかな感触と、キメ細かく透明感のある仕上がりが特徴の高機能フェースパウダーだ。
しかし、最近は皮膚表面だけでなく、様々な紫外線対策が注目されている。中でもよく話題に上るのがUVカットのサングラスだ。眼球へのダメージはもとより、紫外線が目から入り込むと、脳下垂体を刺激し、メラニンが生成されてしまう。これが日焼けやシミのもとになるのだ。いくら日焼け止めを塗っても、なぜか日焼けをしてしまうのは、これが原因といわれている。
また、身体の中から紫外線対策を行うインナーケアへの注目も高まっている。例えば、ミツバチ産品の製造販売で知られる山田養蜂場がメラニンの産生を抑制する成分として着目し、研究に力を入れているのが、インドネシアの果実樹「メリンジョ」由来のレスベラトロールだ。レスベラトロールはポリフェノールの一種で、その強い抗酸化作用や、生活習慣病予防への機能、血液の流れをスムーズにする機能などが明らかにされているが、同社の研究によると、メリンジョ由来のレスベラトロール特有の「グネチンC」という成分には、美白成分として知られるコウジ酸よりも強いメラニン抑制効果があることが明らかにされたという。
美容的な側面だけでなく、皮膚に蓄積した紫外線量が多くなると、皮膚病や皮膚がんの発症リスクも高まる。健康のためにも、春先の紫外線対策は充分心掛けたいものだ。(編集担当:藤原伊織)