縄文人の肌は現代人よりシミのリスクが高かった

2015年03月14日 15:43

 ポーラ化成工業は、シミに関する遺伝子と日本人のルーツについて国立科学博物館、山梨大学と共同で研究を行ったところ、縄文人はシミがよりできやすい遺伝子を持っていたこと、および縄文人の特徴を多く有する現代人はシミになりやすいこと、を示唆する研究結果が得られたと発表した。

 シミは、加齢や紫外線・ストレスなどにより誰にでもできるリスクがある。ポーラ化成工業では過去の研究において、メラニン生成に関与しているMC1R1の遺伝子に「シミ型」(よりシミができやすい)と「通常型」の2種類が存在することを見出している。これらの遺伝子の特徴と、日本人の祖先である「縄文人」「弥生人」の遺伝子的な特徴に類似性があることに着目し今回の結果を導き出したという。
 
 まず、日本人におけるMC1R遺伝子を解析したところ、①「シミ型」と「通常型」では遺伝子的に大きな違いがあること、そして②日本周辺部出身者(九州・東北・北海道)で「シミ型」が比較的多いことがわかった。一方で、縄文人と渡来系弥生人に関する研究においては①縄文人と渡来系弥生人は異なる起源を持つ集団であり、別々に日本に入ってきたこと、②日本周辺部(南九州・東北・北海道)に縄文人の遺伝子が比較的多く存在していることもわかっている。これらのことから、「シミ型」遺伝子と縄文人の特徴が一致した。

 さらに、現代の日本人の遺伝子において、「シミ型」の存在比率と縄文人の遺伝子の存在比率の特徴が似ていることから、「縄文人はシミ型の遺伝子を有していた」という仮説を立てて国立科学博物館、山梨大学と共同研究を行ったところ、縄文人の遺伝的背景が強くなるにつれて「シミ型」遺伝子を有する比率が高くなること、縄文人は 100%「シミ型」遺伝子を有するという結果が得られた。このことから「縄文人はシミ型遺伝子を持つ=縄文人はシミができやすい」ことが示唆されるという。

 そして、現代の日本人は、縄文人と渡来系弥生人の遺伝子(体質・特徴)を受け継いでおり、その比率は人によって異なると考えられている。そこで現代人において、縄文人の特徴と考えられている項目を指標として「縄文スコア)」を求め、シミの関係性について解析したところ、縄文スコアが高い(縄文人の特徴を多く有する)現代人は、シミのリスクが高くなることが明らかになった。この結果からも、縄文人はシミが多い特徴を持っていたことが示唆されるとしている。(編集担当:慶尾六郎)