表皮幹細胞が肌のうるおいを左右する 資生堂が発見

2015年07月11日 17:27

 資生堂<4911>は、肌内部の表皮幹細胞の減少を抑えると表皮のヒアルロン酸量が増加するという「表皮幹細胞とヒアルロン酸の関係」を発見したと発表した。ヒアルロン酸は皮膚内に存在する代表的なうるおい成分で、ハリ・弾力の土台となるコラーゲンを良好な状態に保つという。

 資生堂は、ハリ・弾力のある肌への対応技術において、コラーゲンが肌のハリ・弾力に重要な構成組織であると位置づけ、30 年にわたって研究しているという。これまでに真皮(Ⅰ型)コラーゲン、基底膜シート型(Ⅳ型)コラーゲン、吊り型(Ⅶ型)コラーゲンという3種のコラーゲンの肌における重要性を見出し、これらに対応するスキンケア化粧品の技術を確立してきた。

 ヒトが「ハリを感じる肌の状態」としては、「うるおいがある」「しっとりする」「乾燥していない」「みずみずしい」が上位に挙げられ、いずれも「うるおい」に関わる項目であることがわかっている(資生堂調べ N=927)。同社では、肌のハリ・弾力をより実感できるよう、これら3種のコラーゲンへの対応技術に加えて、今回は肌のうるおい成分「ヒアルロン酸」に焦点をあて研究を進めた。

 肌のうるおい成分である「ヒアルロン酸」は、ハリ・弾力の土台となるコラーゲンを良好な状態にすることが知られている。表皮では、表皮細胞がヒアルロン酸を産生しており、加齢によってヒアルロン酸量が顕著に減少することが知られている。表皮をヒアルロン酸で満たすには、「ヒアルロン酸を生み出す技術」の確立が必要。そこで資生堂は、表皮細胞を生み出し、肌の新陳代謝の源となる「表皮幹細胞」に着目し、表皮幹細胞が加齢により減少することを実証した。さらに、表皮幹細胞とヒアルロン酸に関する研究を進めた結果、①表皮幹細胞はヒアルロン酸を生み出す能力が高い、②表皮幹細胞はヒアルロン酸を表皮に留めさせる能力が高い、③通常は紫外線や加齢などにより基底膜が分解されていくが、基底膜の分解を抑えると表皮幹細胞の減少を抑制できる、④基底膜の分解を抑えると表皮のヒアルロン酸量が増加する、ということを発見した。

 これらの結果より、基底膜の分解を抑制することで、表皮幹細胞の減少を抑制(維持)できることを明らかにした。さらに、表皮幹細胞を維持させることで、表皮中のヒアルロン酸を増加させることを世界で初めて実証したとしている。

 また、表皮幹細胞の減少を抑制するために、基底膜の分解を抑制する2つの成分で対応することとした。これまでの資生堂の研究知見を活かし、基底膜を分解する酵素のヘパラナーゼとゼラチナーゼの働きを抑える効果が高い「ムクロジエキス」、「ウコンエキス」を採用した。今後は、昨年発見したボリューム型コラーゲンを生み出す「真皮幹細胞への対応」と、今回のヒアルロン酸を生み出す「表皮幹細胞への対応」を合わせた「W幹細胞対応」技術を確立し、今秋発売予定のスキンケア化粧品に応用することを目指す。(編集担当:慶尾六郎)