ヤマハ発動機が、X線3Dを用いたインラインでの基板全品検査を可能にした多機能な3D-X線ハイブリッド検査装置「YSi-X」を7月1日から発売すると発表。最新技術を組み込んだX線源・X線検出部・独自制御技術の採用により、X線管部・X線検出部のフル稼働寿命4年の長寿命化も実現しているという。
幅広い業界において、コンパクト化・高機能化・高性能化のニーズに伴って、下面電極部品の採用が大幅に増加。これらの部品のはんだ接合部は、下側に配置されているため、光学外観・目視による検査ができず、また電気的導通検査・機能検査では、はんだ接合部の強度は検査できないため、X線を使っての検査が必要となっている。特に、自動車機器や、サーバー系コンピュータ等の産業用機器では、下面電極部品の採用に伴って製造工程にインラインでX線検査装置を配置しての全品検査が必要だという。しかし、X線3D検査装置をインライン設置した場合、生産ラインにおけるサイクルタイムのボトルネック工程となりやすい、ランニングコストが高いことに加え、光学検査装置・X線3D検査装置の二重投資を強いられるという問題があった。
新製品はこういった問題の解決に寄与するもの。はんだのルーズコンタクト・未溶融・オープン・ブリッジ・XYずれ・θずれ・はんだ少・ボール無し・ボイドなどの不良モードに対応する3Dアルゴリズムを標準装備するとともに、独自のX線ラミノグラフィ撮像技術により、業界最高クラスの3.3秒/視野(同社最適条件)での3D検査を可能とするなど、優れた高速性を実現。また、X線3D検査だけで無く、X線2D検査・光学検査やレーザー距離計による高さ検査の機能を組み込んだハイブリッド構成となっており、検査部位ごとに最適な計測手段を選択できることから効率的で高精度な検査を実現。従来、光学検査機との二重の設備投資を要していたのに対し1台で全検査を実施できることから、トータルでの設備投資額を抑えることができるという。その他、X線による検査を最適な箇所にだけ実施する事で製品の被ばく量を抑制し、X線漏洩量も業界最少。ものづくり、製造業を主体とするヤマハ発動機だからこその信頼という特徴も有するであろう。
新製品を含む産業用機械・ロボット(IM)分野での売り上げを、2011年は343億円であったものを、2012年には390億円にまで伸長させるという目標を掲げるヤマハ発動機。今後の動向に注目が集まるところであろう。