自動車情報センターのデータによると、2011年の電気自動車保有台数は4938台と前年同期1064.6%増、また、次世代自動車新興センターのデータによると、軽自動車の電動自動車の販売台数は平成21年に1623台であったものが平成22年には2611台と1000台近く増加している。さらに、日産の2011年度第3四半期決算でのデータでも、日産リーフの累計販売台数が22100台となり、好調な販売を維持していると発表されている。
しかし、日本自動車販売協会連合会が今月5月1日に発表した4月の新車販売台数187036台と比べると、依然著しく低い数字であり、また、3月の新車乗用車販売台数ランキングでも上位30位に電気自動車はランキングされていないなど、なかなか普及が進んでいないのが現状である。
電気自動車が依然普及が進まない理由としてインフラの未整備が挙げられるが、充電設備に関しては各社着々と製品化を進め、普及拡大を狙っているようである。不在時でも荷物が受けとれるマンション等の宅配ボックスを手掛ける日本宅配システムは、三菱自動車との共同開発で、マンション駐車場での電気自動車充電システムを提供。宅配ボックスの機能を活用し、利用状況の把握や課金を行うことが出来るという。また、富士電気は、EV急速充電器用コイン課金装置の発売を開始。従来EVユーザーは、街中で充電スタンドを利用するにあたって、設置事業者に対して会員登録を行ない、月額利用料や利用ごとの料金を支払ってきた。コイン式の課金装置を設置することで、この会員登録の手間を省けるだけでなく、設置事業者の運営コストも軽減できるという。
この他、電気自動車販売メーカーが各店舗に充電設備を設置して提供していたり、各市町村が補助金を設定していたり、スマートハウスの設備の一つとして採用されているなど、充電設備の普及が図られている。また、電気自動車の蓄電池としての利用で訴求を図るなど、インフラ整備の充足に向けた動きだけでなく、その有用性も積極的にアピールされている。一方で、根本的な問題である航行距離の問題や、依然高い価格など、課題も多い。殊、プラグインハイブリッド車の台頭は、大きな壁となって電気自動車の前に立ちはだかる。現在のところ電気自動車は、著名人が自身のイメージ向上を図れること以外に、一般人にとって現実的なメリットを提示出来ていないのではないだろか。
4月から再び始まったエコカー減税は、HV、PHV、EV、若しくはその他の低燃費車のいずれの販売台数を引き上げるのか。強いては、電気自動車販売に積極的なメーカーは先駆者として業界を牽引していくことが出来るのか、それとも時期尚早・事業戦略ミスとして衰退してしまうのか。減税期間中の各車の販売動向が、今後の業界全体の動向を占う試金石となるのかもしれない。