電気料金値上げが迫る中、何ができるのか

2012年05月14日 11:00

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次世代省エネ住宅の中心的存在のスマートハウス。今後ますます節電効果を期待されるであろう。(写真はアキュラホームが販売する光熱費収支年間5万円のスマートハウス「ひふみ」)

 難しいと言われていた冬の節電対策も何とか乗り切り、これから夏の節電対策を迎える。しかし、東京電力の電気料金値上げ問題など消費者にとっては厳しい現実も待っている。

 3月23日、関西電力は冬の節電効果は約5%と、目標の半分程度ではあったが、他社の融通及び水力発電の効果が加わり、電力使用率が90%を超えたのは5日間だったと、乗り切れたことを発表した。夏とは違い、需要のピークが朝・夕と2回ある冬季の節電は難しいとされており、各家庭での節電対策は特に影響を受けたと思われる。

 難しい冬の節電対策ではあったものの、国民の意識は継続的に高い位置にあり、今後もこれは続いていくだろう。

 これを裏付けるように公開された、スマートフォン向けの無料サービス「シェフモ」が行った「2012年 主婦の全国節電調査」によると、実際の生活で節電を行った主婦は87.4%という高い数値を示しており、家庭内での節電効果は着実に浸透していることが分かる。ちなみに、最も節電を意識した家事は”洗濯”だった。

 また、節電のコンテストを開催し、様々なアイデア等を発表する場を設けている企業もある。

 住宅メーカー、アキュラホームが行っている「アキュラ節電の匠コンテスト」は、一般ユーザーにその取組を広く共有させることを目的に開催されている。2回目となる今冬のコンテストには600件を超える応募があり、「電力削減部門」では上位3世帯の数値がいずれも70%を超えるという、関西エリアが今冬の節電目標に掲げていた10%から考えれば、驚異的な削減率を出している。応募者平均でも21.9%の削減率を達成しており、その節電意識の高さはきちんとデータに反映されている。もうひとつの「節電・省エネ部門」では、”家電の使い方の工夫”"暮らし方の工夫”などで取り組むユーザーが多く見られた。具体的には、エアコン使用の制限や断熱効果を高める、湯たんぽの使用、ウォームビズ採用などの暖房対策を筆頭に、待機電源のOFFや、こまめな消灯・LED導入などの照明の工夫が多く挙げられている。そしてこのコンテストでは、節電に家族で取り組むことで、”家族が一緒にいる時間が増えた”"家族で楽しみながら節電した”などの声が多く、『家族の絆』を育む機会にもなったようだ。今後アキュラホームでは消費者のユニークなアイデアや声を商品開発にも取り入れたいとしており、将来、同社の住宅にどのように活かされるかが注目される。

 このように、一般家庭での節電は当然、住まいの中で行われるものが多く、消費者の意識の高さだけでは、限界があるのも事実だ。本来、住宅というのはまず”快適さ”が求められるもの。節電のために、犠牲になっているものが多くては意味がない。今後、住宅メーカーは”快適さ”の上に立つ省エネ効果の大きい住まいを求められる傾向が強くなる可能性が高い。東電の電気料金値上げが目前に迫る今、スマートハウスをはじめとする、次世代省エネ住宅普及を望む声がますます大きくなりそうだ。