NECがフェムト基地局向けに電波干渉を抑える技術を開発

2012年05月11日 11:00

 NECが、屋内で高速モバイル通信を実現するLTEフェムトセル基地局向けに、電波の送信電力を通信量に応じて最適に制御し、電波干渉を抑える技術を開発したと発表。本技術を適用することで、屋内外どこにいても通信速度を最大化し、快適なモバイル通信が実現できる。

 近年、ワイヤレス通信の大容量・高速化を実現するLTE通信の普及が始まり、今後ますますデータ通信量が増大することが予想されている。この状況に対応するため、屋外の広い範囲をカバーするマクロセル基地局に加え、屋内の狭い範囲をカバーするフェムト基地局も多数設置する必要がある。しかし、高密度に設置したLTEフェムトセル基地局の電波が、マクロセル基地局や近くのLTEフェムトセル基地局の電波と干渉することによる、フェムト・マクロ両基地局での通信速度低下が課題となっている。

 今回発表された新技術は、この課題の解決に貢献するもの。フェムト基地局に接続する端末の通信量や、基地局の設置環境に応じて、フェムト基地局や基地局に接続する端末の送信電力を自動的に調整。これにより、マクロ基地局への電波干渉を抑えながら、フェムト基地局を高密度に設置できるようになり、屋内外どこにいても高速な通信が可能となる。新技術を適用すれば、本技術を適用しない場合と比較して3倍の数のフェムト基地局を設置可能となり、また、フェムト基地局の通信量が減少した際は送信電力を増加し、本技術を適用しない場合と比べてフェムト基地局内の通信速度が1.2倍向上するという。

 無線技術の向上により、その利便性を実感している人は多いであろう。しかしエンドユーザーにとっては、いつでもどこでも、大容量のデータがストレスなく送受信できるかが問題であり、それを実現するための技術にあまり関心がないのが現状ではないだろうか。利便性を享受できる裏には、さまざまな課題があり、それを解決する技術が日々開発・利用されている。普段は意識しないそういった場所に目を向けてみると、日本の技術の高さを実感させるものが溢れているのかもしれない。