9日の日経平均は7営業日ぶりの反発。前週末6日に発表された4月のアメリカの雇用統計は、非農業部門雇用者数の伸びは16万人で市場予測の20.5万人も3月の20.8万人も大きく下回った。完全失業率は5.0%で市場予測の4.9%までは下がらずに横ばい。平均時給は市場予測通りに上昇加速。雇用指標悪化を受けて直後、為替はドル安円高、NYダウは下落、日経平均夜間取引は下落、金先物価格は上昇したが、6月利上げが先に延びる観測でNYダウ終値は79.92ドル高で、為替のドル円は107円台に戻り、みんな元のサヤに収まっていた。NASDAQ、S&P500は4日ぶりに反発。英国の地方選挙は与党が勝利しEU離脱派もスコットランド独立派も勢力後退。ロンドン市長は初のイスラム教徒が当選。ヨーロッパ市場は英国とドイツがプラスでフランスがマイナス。原油先物価格は小幅高で44ドル台だった。CME先物清算値は16080円。9日朝方の為替レートはドル円が107円台前半、ユーロ円が122円台前半。
6営業日続落中の日経平均は119円高の16226円で始まる。TOPIXは1300乗せ。9時13分に16292円まで上昇するが、16300円にはタッチできない。9時台はおおむね16250円を超える水準だったが、10時を回ると徐々に下げ、10時台後半には16200円を割り込む。上海市場がマイナスで始まってさらに低迷すると10時57分に16159円の安値をつける。それでもプラス圏は堅持。11時台には16200円にタッチする時間帯もあり、前引けは86円高の16193円だった。
中国の貿易統計は悪く、市場予測を下回る。上海市場はマイナスのまま午前の取引を終了。後場の日経平均は前引けより安く始まるが、1時を回ると16200円台をほぼキープできるようになる。この日、為替のドル円が107円台前半から半ばの水準で安定していたのが支援材料。薄商いだが先物の仕掛け売りは入らない。再開した上海市場は-2%を超える安値圏に沈むが、2時台は少し上昇して16250円に迫る。結局大引けは3ケタ高の16216円、TOPIXは終始1300台を維持して終え、続落を6日間でやっと止めた。
日経平均終値は109.31円高の16216.03円、TOPIX終値は+8.34の1306.66。売買高は17億株で今年2番目の薄商い。売買代金は1兆7317億円で年初来の最少記録を更新した。値上がり銘柄数は1283、値下がり銘柄数は567。プラスは22業種で、その上位は小売、不動産、水産・農林、食料品、建設、その他金融など。マイナスは11業種で、その下位は鉄鋼、精密機器、海運、保険、非鉄金属、金属製品など。上海総合指数の終値は2.78%の大幅安だった。
10日の日経平均は大幅続伸。ヨーロッパ市場は英国は下落、ユーロ圏は上昇。原油先物価格は4日ぶりに反落し43ドル台。週明けのNYダウは34ドル安で小幅反落。NASDAQ、S&P500は続伸。取引開始直後はプラスだったが、原油安、中国の貿易統計の悪さ、市場予測を大幅に下回る-0.9で4ヵ月連続のマイナスと悪かった労働情勢指数(LMCI)、「パナマ文書」の社名リスト公表などを受けてマイナス圏に沈んだままだった。シカゴ連銀のエバンス総裁が、2016年のアメリカのGDP成長率+2.5%という楽観的な見通しを出した。悪化した雇用統計を気にするなというメッセージか? 「為替介入の用意はある」と述べた麻生財務大臣、安倍首相、さらにオバマ大統領が為替に関する発言を連発してドル高円安になり、朝方の為替レートはドル円が108円台半ば、ユーロ円が123円台前半。CME先物清算値は16275円。
フィリピン大統領選挙は「フィリピンのトランプ」の異名をとるドゥアルテ氏が当選確実。「パナマ文書」は企業約21万社など36万以上の社名、個人名が公表された。日本の企業・個人名は大手商社など約400あったというが、参議院選挙前のスキャンダルにつながる大物政治家の名前はない模様。2009年から総選挙、参議院通常選挙、統一地方選挙が毎年毎年あるので、タックスヘイブンで運用するようなカネはなかった、か?
「円安は全てを癒す」で日経平均は91円高の16307円と16300円台に乗せて始まる。TOPIXは1310台乗せ。しかし9時3分の16323円をピークに16300円を割り込み、プラス圏でもモタモタした動き。アップルとサムスンがスマホの出荷減見通しを出し、電子部品など関連銘柄がさえない。9時27分には16229円の安値をつける。10時台前半にかけては16300円付近まで戻るのがやっと。
ところが10時30分にターニングポイント到来。中国の経済指標が発表され、CPIは+2.3%で市場予測と同じ、PPIは-3.4%で市場予測より良かった。上海市場はマイナスで始まるが直後にプラス浮上。それを好感して先物に買いが入り、それまでのアンニュイ気分が一掃され日経平均は高値をどんどん更新する。16350円、16400円、16450円を次々突破し4営業日ぶりに日足一目均衡表の「雲」(下限は16385円)の中に突っ込み、11時14分に16488円まで上昇する。16503円の25日移動平均線まであと15円。ドル円は時間差を伴って108円台後半で円安進行。前引けは243円高の16459円だった。
日経平均は中国の経済指標に反応して上昇しても、当の上海はプラスとマイナスの間で乱高下しながら午前の取引を小幅プラスで終える。午後は前引け付近で再開するが、早々と16500円を突破して高値を更新し25日線もあっさりオーバー。為替のドル円が109円に迫ると、2時ちょうどに16587円まで上昇する。16620円の75日移動平均線まであと33円。2時に再開した上海市場はプラス圏を維持するが、日経平均は16600円手前で上値追いの動きが止まる。この日は「鬼門」のSQ週の火曜日だが、先物売りの動きはまだ出ない。少し凹んで「いよいよきたか?」と思っても16500円台をしっかり維持し、終盤は再びこの日の高値に迫る動き。大引け直前に上海がマイナスに急落しても反応せず、349円高の16565円で大幅続伸した。
日経平均終値は349.16円高の16565.19円、TOPIX終値は+28.24の1334.90。売買高は23億株、売買代金は2兆4297億円。値上がり銘柄数は1663、値下がり銘柄数は240。プラスは31業種で、その上位はその他金融、保険、ガラス・土石、金属製品、ゴム製品、化学工業など。マイナスは石油・石炭、鉱業の2業種。エネルギーセクターは円安で差損が出る。上海総合指数は最後まで乱高下したが0.01%高の小幅高で終えた。