【今週の振り返り】上下の変動が穏やかになり277円上昇した週

2016年03月26日 20:09

EN-d_300

週間値幅は、3月第1週は1016円、第2週は532円、第3週は678円。それが今週第4週は298円まで縮まり、「三角もちあい」のパターン形成。

 22日の日経平均は5営業日ぶり大幅反発。前週末18日のNYダウは120ドル高で6日続伸。ミシガン大学消費者信頼感指数は市場予測を下回り、原油先物価格は39ドル台に下落したが、利上げを急がないFOMCの方針に安心感を持ったのかマーケットの空気が入れ替わり、問題にしなかった。

 週明け21日の上海総合指数は2.15%高。ヨーロッパ市場は下落。2月の中古住宅販売件数が市場予測を下回り、サンフランシスコとアトランタの連銀総裁が4月利上げの可能性に言及してNYダウは安く始まったが、午後に持ち直して終値は21ドルの小幅高で7営業日続伸。NASDAQもS&P500もプラス。原油先物価格は一時41ドル台、終値は39ドル台。スターウッドホテルズはマリオットからの買収提案に合意し、アップルは小型のiPhoneSEを31日に発売すると発表した。22日朝方の為替レートはドル円112円台近辺、ユーロ円126円台近辺で円安はしっかり進行。CME先物清算値は16755円だが、3月期末の権利配当落ち分推定112.8円を加えると16867円。

 気象庁は前日21日に平年より5日早く東京の桜の開花を宣言。3連休が明けた日経平均は春にしてはちょっと寒いが212円高の16937円で始まる。TOPIXも大幅高。3分後に早くも17000円の大台回復。9時15分に17107円まで上昇し、その後も安定。ドル円は112円台前半で、円安は全てを癒す。懲りない読売新聞が「税収減になるなら消費増税先送り」という菅官房長官のインタビューを報じたが、円安、株高はそれへの反応か? 10時台になると為替が112円を下回り日経平均も一時17000円を割り込みそうになるが、タッチ・アンド・ゴーで再上昇。上海市場はマイナスで始まるが下げ幅を圧縮する。ドル円は112円台に戻り、誰かさんの仕掛け不発。前場の残り時間は動きが乏しくなり、前引けは336円高の17061円だった。

 上海はプラスに届かずマイナス幅を拡大して午前の取引を終える。後場の日経平均は再開直後に17000円を割り込み、下げ幅を拡大して1時4分の16851円まで下落。今度は誰かさんの為替の円高を伴う先物主導の下げ仕掛けがジャストミート。性格はしつこい? 商いが薄いから成功する。その後は2時までにドル円は112円台を、日経平均は17000円台を回復した。全国スーパー売上高は3.4%増、コンビニ売上高は1.6%増。今年の2月は29日まであったおかげ。上海市場はマイナスで再開し下げ幅圧縮。日経平均は17000円の少し上に浮かび、終盤はいったん割り込んでも大引けは323円高の17048円と大幅高で、トンネルから抜け出した。

 新規IPOが1件。学校の教師の授業を支援する教育用ソフトウェアなどの企画、開発、販売を行うチエル<3933>がジャスダックに新規上場。eラーニングではなくリアルな授業をアシストする。大引けまでに初値がつかず、公開価格810円の2.3倍の1863円の買い気配で終了した。久々の初値翌営業日持ち越し。

 日経平均終値は323.74円高の17048.55円、TOPIX終値は+24.88の1369.93。売買高は20億株、売買代金は2兆1784億円。値上がり銘柄数は1732、値下がり銘柄数は163。32業種がプラスで、その上位はその他製品、精密機器、医薬品、海運、輸送用機器、情報・通信など。マイナスは鉱業の1業種だけだった。上海総合指数は最後までプラスに浮上できず0.64%安だった。

 23日の日経平均は小幅反落。ベルギーの首都でEU本部があるブリュッセルの空港と地下鉄駅で連続爆弾テロが起き死傷者多数。ISが犯行声明を出し原発テロの予告まであった模様。ヨーロッパ市場はそのショックで安く始まったが、ドイツのIFO、ZEW景況感指数が良かったこともあり揃って小幅安で終えた。NYダウも安く始まりプラスに転じたが、終盤に売り込まれ41ドル安で8営業日ぶりに反落した。NASDAQはプラス。シカゴ連銀のエバンス総裁はFOMCが利上げに慎重なのは適切だと発言。原油先物価格は終値41ドル台で下落。長期金利は上昇。金先物価格は地政学的リスクで3日ぶりに反発。為替のドル円はロンドン時間で一時111円台前半まで円高が進んだが、朝方は112円台前半。ユーロ円は126円近辺。CME先物清算値は16925円だが、3月期末の権利配当落ち分推定112.8円を加えると17037.8円。

 マーケットが混乱すればテロリストの思う壺だが、昨年11月のパリの連続テロの時より立ち直りが早い。前日発表の公示地価は商業地を中心に全体で0.1%上昇。商業地は8年ぶりに0.9%上昇。前日夕方から首相官邸で開かれた「国際経済分析会合」の第3回のゲスト、ノーベル経済学賞を受賞しアベノミクスを支持してきたポール・クルーグマンNY市立大学教授(プリンストン大学名誉教授)は消費増税の先送りと財政出動をきっぱり主張した。外務省は朝方、ブリュッセルで日本人1人が重傷、1人が軽傷と発表した。

 日経平均は17.72円高の17066円とプラスで始まる。TOPIXもプラス。日経平均は序盤で17100円を超え9時5分に17142円まで上昇するが、そこから急降下。9時40分すぎにはTOPIXとともにマイナスになり、9時49分の17002円で下げ止まる。17000円割れ寸前でも大台割れは回避できるのが「心理的節目」。ドル円レートは112円台を堅持。もしユーロやドルがテロに負けていれば、日経平均は底なしにボロボロ下げたはず。

 その後は前日終値をはさんでアップダウンしながら水準を上げ、上海市場がマイナスで開始直後にプラスに浮上した10時台後半は17100円にも再びタッチ。為替は動かないので、28日が権利付き最終売買日でそろそろ出てくるトヨタ<7203>、メガバンク、商社などの権利配当取り狙いの買いと、利食い売りのマッチプレー。ところがズルズル下落して11時台は再びマイナス圏に。上海市場が急にマイナスに落ちて乱高下し、ガラッパチの本性炸裂。それに影響されるも17000円の大台はキープ。為替レートは安定しても上海にかき乱されて前引けは6.73円安の17041円。だがその直前、上海は涼しい顔でプラスに戻って、悪女ぶりまで炸裂した。

 その上海市場はロデオのようなじゃじゃ馬ぶりの果て、午前はマイナスで終了。日経平均は少し安く後場を再開し、0時41分に瞬間17000円割れして16994円。その後はプラスに戻せそうで、戻らない小幅安。2時までは17000円台を保っていたが、2時に再開した上海市場がマイナス幅を拡大し安値を更新する小悪魔ぶりで、毒気に当たって日経平均も17000円割れ。為替のドル円は112円台前半で朝から変わらず、もっぱら中国市場に振り回される。終盤は17000円をはさんでもみあい、終値ではかろうじて大台に乗せた。

 前日、ジャスダックに新規上場して初値がつかなかったチエル<3933>に初値がつき、公開価格810円の2.65倍の2151円だった。

 日経平均終値は47.57円安の17000.98円、TOPIX終値は-5.73の1364.20。売買高は16億株、売買代金は1兆7399億円でともに今年最少だった。値上がり銘柄数は733、値下がり銘柄数は1064。プラスは8業種で、その上位は水産・農林、電気・ガス、小売、陸運、不動産、食料品など。マイナスは25業種で、その下位は機械、鉱業、卸売、電気機器、その他金融、パルプ・紙など。スラップスティック少女と化して東京市場をさんざん翻弄した上海総合指数はお澄ましして0.35%高。年をとっただけ?