【今週の振り返り】週初の大幅安を「倍返し」して724円上昇の週

2016年04月23日 20:34

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月曜の572円安の翌日は598円高。ボロボロ売られても、明日は明日の風が吹く。と、切り換えが早いのが今のマーケット。あとは4日続伸、1296円上昇で「倍返し」。

 18日の日経平均は大幅続落。NYダウは28.97ドルの小幅安。シティグループの1~3月期決算はEPS(1株あたり利益)が市場予測を上回り、NY連銀製造業景況指数が回復しても、鉱工業生産は2ヵ月連続のマイナスで2013年2月以来の低水準。ミシガン大学消費者信頼感指数速報値も市場予想を下回った。それを受けて為替はドル安に振れドル円レートは再び108円台に。ダウも高値警戒感で低迷した。日本時間の深夜、その2日前よりひどかった熊本の「本震」発生の影響は限定的。CME先物清算値は16605円だった。

 G20はタックスヘイブンの問題への対応で一致したが、通貨政策について日米の見解の相違が埋まらず、円安誘導にけん制球が投げられた。ドーハの産油国会合は増産凍結合意見送り。熊本の大地震の死者は40人を超え、トヨタ<7203>が全国的に生産を停止するなど企業活動への影響がひろがってリスクオフムードにおおわれる中、18日朝方の為替レートはドル円が一時107円台で108円近辺、ユーロ円が122円近辺。

 日経平均は326円安の16521円で始まるが、主要銘柄に値がつくにつれて先物にさや寄せして急落し16300円台前半に。前週後半に抜いた移動平均の75日線も25日線も5日線も割り込み、15日終値から500円以上も安い。東京時間で為替の円高が進み、ドル円は107円台、ユーロ円は121円台に沈む。ユーロがこんなに安いのはギリシャなどPIIGS問題たけなわの頃以来3年ぶり。原油先物も大幅安。9時20分に16254円の安値をつけるが、日足一目均衡表の雲の下限16243円は下回らず雲の中にとどまる。買われたのは建設セクター、セメントなどガラス・土石の一部で、復興需要がらみ。九州に生産拠点が多い自動車も、〃業績回復の命綱〃のイメージセンサーの工場が停止したソニー<6758>など電機も大幅安。自然災害に弱い保険セクターも売られた。だがひとしきり売られた後、日経平均は10時までに16400円にタッチし、その後は16400円の少し下で小動きし小康を保つ。上海市場はマイナスで始まり下落幅が1%を少し超えたところで横ばい。日経平均も16400円台に乗せる時間帯があるものの、おおむね16300円台半ばで横ばい。前引けは503円安の16344円だった。

 上海はマイナス圏で、定規をあてて線を引いたような横ばいのまま午前の取引を終了。後場の日経平均もほぼ前引け水準で再開する。為替のドル円は108円をはさんで小動き。1時頃に少し凹むが16300円は割り込まず、かといって16400円にタッチすることもなく静かな値動き。再開した上海市場は午前と変わらずマイナス圏で横ばい。2時台後半になると16300円を割り込んで、大引けは572円安の16275円で大幅続落。前週の週間騰落1026円の半値割れになった。

 日経平均終値は572.08円安の16275.95円、TOPIX終値は-41.25の1320.15。売買高は21億株、売買代金は2兆1312億円。値上がり銘柄数は209、値下がり銘柄数は1696。プラスは震災復興需要期待の建設1業種のみ。マイナスは32業種で、下位は保険、海運、その他金融、電気・ガス、輸送用機器、証券など。借りてきたネコのように動きが乏しかった上海総合指数は1.44%安で終えた。

 19日の日経平均は大幅反発。週明けのヨーロッパ市場は上昇。原油安を企業決算と要人発言ではね返してNYダウは106ドル高。終値で昨年7月以来の18000ドルの大台に乗せた。昨年5月の史上最高値18351ドルまであと347ドル。原油先物価格は一時37ドル台まで下落したが、クウェートの国営石油精製施設がストライキで生産減というニュースを受けて小幅安の39ドル台まで戻した。それでも1週間ぶりの40ドル割れ。モルガン・スタンレーの決算はEPSが市場予測を上回っても純利益53%減と悪かったが、「スターウォーズ」関連商品が売れてディズニーは好決算。フォースの守りあり。NY連銀のダドリー総裁が利上げに慎重な姿勢をみせたのも好感された。朝方の為替レートはドル円が108円台後半、ユーロ円が123円台前半で、特に対ユーロで円安が大きく進行。CME先物清算値は16645円だった。

 内閣府は前日の経済財政諮問会議で、一億総活躍社会実現に向けた取り組みを進めた場合、個人消費を2020年度に約13.7兆円、2025年度に約20.4兆円それぞれ押し上げる効果が出るという試算結果を公表した。

 日経平均は306円高の16582円で始まる。TOPIXも大幅高。マーケットはさすがに気分の切り換えが早い。ドル円が109円台に乗る円安進行を受け、買い気配の主要銘柄に値がつくにつれて先物にさや寄せし日経平均は急伸。16600円台、16700円台をアッと言う間に通過し6分後には16800円台後半に。前日の序盤とは上下真逆の動き。しばらく16800円前後でもみあったが、円安の流れ継続を確認して9時台後半はさらに上値追い。上昇幅は前日下落分の572円を超える。前週の週間騰落が4ケタ上昇だったので、踏み上げというよりは悪材料を織り込んだ後で前週の地合いに戻る動き。10時20分に16898円まで上昇し、16900円まであと2円。主力銘柄全面高の中、前日買われた建設など復興関連銘柄の一部に利益確定売りが出る。上海市場はプラスで始まって徐々に下げていく展開。日経平均も19800円台前半で少しずつ水準を下げていく。為替のドル円は109円台を保つ。上海がマイナスに変わっても16800円台はキープし、前引けは565円高の16841円だった。

 上海はわずかなプラスで午前の取引を終了。後場の日経平均は16800円近辺の小動きが続く。前日比で+500円を超えても、カラ売りの踏み上げだけでなく海外市場や為替の裏付けがあるため、値動きが安定している。上海市場は小幅高で再開してもプラスになったりマイナスになったりで安定しない。しかし日経平均は2時台、徐々に徐々に上昇を続ける。2時30分に3月の全国百貨店売上高が発表され、-2.9%で2ヵ月ぶりのマイナス。東京地区の既存店売上高も-1.1%で12ヵ月ぶりのマイナス。震災の影響で今後は訪日観光旅行を控える動きが出そうで、インバウンド消費の先行きは明るくない。しかし日経平均の上昇はやまず、大引け1分前の2時59分には「思い出づくり」のように16900円ちょうどにタッチして高値更新。終値は598円高の16874円と「猛反発」し、前日の572円安を全部取り返して26円のおつりがきた。25日移動平均、75日移動平均とも、下回ったのは前日だけだった

 新規IPOが1件。「キャリコネ」で知られソーシャル・ウェブメディア事業、ビジネス・ウェブアプリケーション事業を行うグローバルウェイ<3936>が東証マザーズに新規上場。大引けまでに初値がつかず公開価格2960円の約2.3倍の6810円の買い気配で終了し、翌日に持ち越し。ニュースサイトなどと同じコンテンツ関連だが、並行して手堅い事業も行っている。

 日経平均終値は598.49円高の16874.44円、TOPIX終値は+42.88の1363.03。売買高は20億株、売買代金は2兆863億円と商いは比較的薄い。値上がり銘柄数は1792、値下がり銘柄数は118。全33業種がプラスで、その上位は銀行、海運、保険、非鉄金属、電気機器、輸送用機器など、前日に大きく下げたセクターが大きく反発していた。変動が大きかった上海総合指数は0.30%高と、小幅のプラスでフィニッシュした。

 20日の日経平均は小幅続伸。ドイツのZEW景況感指数の期待指数は2ヵ月連続プラスで、英国のFT100指数、ドイツのDAX指数が年初来高値をマークするなどヨーロッパ市場は軒並み上昇。アメリカの3月の住宅着工件数は-8.8%で、建設許可件数もマイナス。企業決算もIBMは悪かったが、ヘルスケアのジョンソン&ジョンソン、ユナイテッド・ヘルスは好決算。ゴールドマン・サックスは大幅な減収減益だが金融セクターはもともと市場予測が悪いため、EPSはそれを上回った。原油先物価格が5日ぶりに反発して41ドル台まで上昇し、NYダウは堅調で終値は49ドル高。NASDAQはマイナス、S&P500はプラスだった。朝方の為替レートはドル円が109円台前半、ユーロ円が124円台前半で少し円安。CME先物清算値は17025円だった。

 政府は前日の産業競争力会議で、「新3本の矢」の目標「2020年にGDP600兆円」を実現する成長戦略として「自動走行、IoT、ビッグデータ、人工知能、ロボットの活用による第4次産業革命」「健康保険外サービスの促進」「スポーツの成長産業化」「住宅リフォーム市場活性化やサービス産業の生産性倍増」を打ち出した。「日本再興戦略」に代わる「600兆円に向けた官民戦略プロジェクト10」という名称がつく(仮称)。それぞれの関連銘柄の株価にどう影響するか?

 取引時間前に発表された3月の貿易収支は7550億円の黒字。黒字は2ヵ月連続だがその幅は市場予測より小さかった。2015年度通期は1兆792億円の貿易赤字で2014年度の9兆1277億円から激減。エネルギー価格の下落効果はきわめて大きい。直前発表のインテルの好決算も影響したのか先物は17000円台で、日経平均は179円高の17053円と約3週間ぶりの17000円台に乗せて始まる。日足一目均衡表の雲の上限16989円を突破して雲の上に顔を出す。いつも青空だ。9時6分に17099円と17100円まであと1円に迫り、TOPIXは1380にタッチ。しかし東京時間に入ってからドル円が円高に振れ109円台維持もあやうし。そのため日経平均は17000円台を維持できずに割り込みプラス幅圧縮。貿易黒字が為替レートを介して株価を下落させた。しかし10分あまりで17000円台に復帰し、その後は安定。だが598円高の翌日で戻り待ちが出やすいだけに、10時すぎの再度の17000円割れは元に戻らなくなる。クウェートの石油精製施設のスト解除で原油先物価格が下落。アメリカ大統領選挙のNY州共和党予備選挙でトランプ氏の勝利確実が伝わると、「もしも大統領になったら何をするかわからない」のか日経平均は安値更新。上海市場はプラスで始まってマイナスに急落。ドル円は109円割れ。日経平均はプラス圏での安値更新が11時台にかけて続き、11時6分に16923円の安値をつけた。その後は上昇して前引けは102円高の16977円だった。