近年、印刷技術の向上に伴い、紙幣・有価証券の認証におけるセキュリティ性能向上を実現するため、紫外光から赤外光までの広波長域を用いた真偽判定の要求が高まっている。言い換えれば、紫外光から赤外光までの広波長域における、低ノイズで高感度な検出の要求が高まっている状況にある。こうした中、セイコーホールディングス<8050>グループの半導体IC専業メーカー、セイコーNPCが、従来、波長の異なるLED毎に汎用フォトダイオードとオペアンプ等が必要とされた光検出回路を集積化し、超小型パッケージに収めた光スポットセンサ「SM3320」を開発、量産出荷を開始したと発表した。
本新製品は、紫外光から赤外光までを検出可能なフォトダイオードを内蔵し、シリアルインターフェースを用いた感度設定を組み合せたことで、高感度な検出を実現。加えて、温度上昇に伴い増加する暗電流を補正する回路を内蔵したことにより、-40℃から85℃までの温度範囲で安定した出力が可能になっているという。さらに、これらの機能を小型のパッケージに収めたことにより、部品点数の削減、回路の簡素化、システムの小型化が実現でき、本製品を並列配置することで、認識エリアの拡大も可能としている。
紙幣・有価証券などの認証分野だけでなく、光検出装置などの光学応用製品でも採用が見込まれる本製品であるが、実はサンプル出荷は昨年の6月に開始されている。そして、当時の発表によると量産出荷時期は2012年10月となっており、3カ月も予定を押している。見通しが甘かったのか、トラブルがあったのか、そのことに関する発表は何らなされていない。予定がずれることなどよくある話ではあるが、予定していた量産に手をつけられないほど資金繰りが悪化しているなどと邪推をされない為にも、何らかの説明はすべきだったのではないだろうか。(編集担当:井畑学)