トクホに匹敵する、「機能性表示食品」

2016年05月28日 19:26

 特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品とは異なる、「機能性表示食品制度」が2015年4月に導入されてから、およそ1年が経った。

 富士経済の調査によると、機能性表示食品の国内市場は2015年見込で303億円。 特定保健用食品の3862億円と比べると10分の1以下となっている。16年はおよそ2.3倍となる699億円に成長すると予測しているが、同調査後も商品が続々と登場されている。既に届出受理または受理待ちで今後の発売を控えている商品を考慮すると、この数値は大幅に修正される可能性が高いとみている。さらには、低コストでスピーディに商品化できるという機能性表示食品のメリットにひかれて、トクホから注力をシフトする企業も増えてきそうな勢いだという。

 「機能性表示食品」は、安全性の確保を前提として、科学的根拠に基づいた機能性が事業者の責任において表示されるものだ。しかし、事業者の勝手で表示できるというものではない。

 事業者がその食品を「機能性表示食品」として販売したい場合、国の定めた一定のルールに基づいて、安全性や機能性に関する評価を行うとともに、生産・製造、品質の管理の体制、健康被害の情報収集体制を整え、商品の販売日の60日前までに消費者庁長官に届け出る必要がある。つまり、トクホが国の審査が必要な「許可制」であるのに対し、機能性表示食品は 企業の責任において行われる「届出制」であるということだ。また、届け出された内容は、消費者庁のウェブサイトで公開される。消費者が望めば、直接、その内容が確認できるので、消費者の誤認を防ぎ、自主的かつ合理的な商品選択を行うための表示制度といえるだろう。

 具体的な商品としては、例えばOTC目薬市場でシェア30%以上を誇るロート製薬<4527>が販売している「ロートV5粒」などがある。この商品は同社の主力である「ロートV」シリーズの名を冠しているサプリメントで、網膜に働きかけ、見る力の維持をサポートするルテインやゼアキサンチンなど、目のための厳選素材を含有したソフトカプセルだ。

 また、ミツバチ産品の製造で知られる株式会社山田養蜂場も、食酢の主成分である酢酸が、高めの血圧を低下させる作用を証明した研究結果をもとに機能性食品表示食品と受理された。この結果をもとに「はちみつ酢」に「はちみつ」と「りんご果汁」をブレンドした「飲むはちみつ酢 りんご味」を「血圧が高めの方に適した」機能性表示食品として、5月26日より新発売した。

 他にも、グリコ<2206>の「朝食BifiX(ビフィックス)ヨーグルト」や、日清食品<2897>の「日清健康オイル アマニプラス」など、大手食品メーカーもこぞって機能性表示食品の市場に積極的に乗り出している。

 いずれにしても、消費者にとってどんな研究や検証のもとにその機能性が謳われているのかを知り易いということは大きなメリットだ。「機能性表示食品」という言葉の認知が広まれば、トクホに匹敵する市場に成長するのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)