森下仁丹<4524>は、慶応大学発のベンチャー企業「メタジェン」(山形県鶴岡市)と共同研究契約を締結した。個人の体質に合わせた「オーダーメードサプリメント(栄養補助食品)」の開発に向けて共同研究を進める。
森下仁丹は1993年から、便通を改善する「ビフィーナR」を発売してきた。これは、独自の耐酸性カプセルでビフィズス菌を守り、ヒトの腸の中で細菌が作り出す生態系「腸内フローラ」を良好にする働きを活用したものだ。
一方、メタジェンは、今年3月に慶應義塾大学先端生命科学研究所の福田特任准教授らによって設立されたベンチャー企業で、腸内環境に基づいた新たな健康評価方法を開発している。ヒトの便から腸内フローラの遺伝子情報と腸内代謝産物情報を抽出し、網羅的に統合解析する独自技術「メタボロゲノミクス TM」を開発した。
両社は、「メタボロゲノミクス TM」を用いて、「ビフィーナR」摂取前後の腸内環境の変化を解析し、生きたまま腸に届いたビフィズス菌がヒトの腸内環境に与える影響を明らかにする。こうした研究成果を活かして、個人それぞれの腸内フローラにあわせて、最適と考えられるビフィズス菌や乳酸菌などを配合した「オーダーメードサプリメント」を開発する。
これまで、機能性を表示することができる食品は、国が個別に許可した特定保健用食品(トクホ)と国の規格基準に適合した栄養機能食品に限られていたが、機能性を分かりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者がそうした商品の正しい情報を得て選択できるようにするために、4月から「機能性表示食品」制度がスタートした。
サプリなどの健康食品の国内の推定市場規模は1兆5000億円前後とされているが、「機能性表示食品」制度開始によって、市場が拡大すると予測されている。オーダーメードサプリの誕生によって、サプリ市場の拡大にさらに拍車がかかりそうだ。(編集担当:久保田雄城)