「未成年や妊産婦、病気の人は対象外」新しい食品表示法、厳しすぎる?

2014年06月03日 21:28

 食品をめぐる表示が、大きく変わるかもしれない。政府は昨年6月の閣議で、さまざまな食品について“◯◯に効果がある”などの「機能性表示」を解禁する方針を決定。現在は国の審査を通過しなければ認められない「機能性表示」を企業が自由にうたえるよう、検討を進めてきた。

 昨年12月に始まった消費者庁の検討委員会には、栄養分野に詳しい大学教授や医療関係者、消費者団体の関係者などが名を連ねる。6回の検討会を経て先月末、食品の新たな機能性表示制度をめぐる方針が公表された。

 消費者庁の案では、国の審査が必要な「特定保健用食品(トクホ)」や「栄養機能食品」制度はそのまま残される。その代わり、企業が国の審査を受けなくても食品の「機能性表示」をアピールできるよう、新制度が作られる。ただ、その内実はかなり厳しいものとなりそうだ。

 まずパッケージなどに、製品が「国による評価を受けたものではない」と明記しなければならない。さらに、製品を用いたヒト試験による実証か、利害関係にとらわれない査読付きの学術論文などを根拠として示す必要がある。研究データは海外のものを参照してもよいが、日本人に当てはめた場合はどうなるか、きちんと考慮しなければならない。信ぴょう性のある根拠なしに効果をうたえば、罰則を受ける。

 また、すでに何らかの病気にかかっている人へ向けたアピールはしてはならない。「◯◯症に効く」などの表現を認めると、あたかも食品で病気が治るような印象を与えてしまうからだ。さらに未成年者や妊産婦(妊娠計画中の女性も含む)授乳中の女性に対しても、「機能性」をアピールしてはならない。未成年は判断能力が十分ではないこと、妊産婦などについてはヒト実験が倫理的に認められないこと、などがその理由とされている。

 消費者被害を防ぐためには、ある程度制度を厳しくせざるを得ないのかもしれない。ただ、一部の委員からは「厳しすぎる」との声も挙がっている。(編集担当:北条かや)