今週の振り返り 遠回りをしても乗せれば底堅い11000円台

2013年02月02日 08:51

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今週の振り返り 遠回りをしても乗せれば底堅い11000円台

今週の振り返り 遠回りをしても乗せれば底堅い11000円台

  主力銘柄の決算が悪くても、円安は全てをいやして日経平均の上昇はなお続く。

  28日朝の為替レートはドル円が91円台前半、ユーロ円が122円台後半で、円安がさらに進行した。前週末25日のNYダウは70ドル高で6日続伸。日経平均始値は76.21円高の11002.86円と2年9ヵ月ぶりに11000円台の大台に乗せたが、15秒間だけ。午前10時過ぎからズルズル下げて10900円も割り込んだ。ドル円が90円台に逆戻りしたのが要因だが、大台タッチの達成感もありそうだ。後場も下げが止まらず終値は102.34円安の10824.31円で、朝から148.55円も下落した。

  業種別騰落率がプラスだったのは鉱業、その他金融、証券、その他製品、小売など9業種。マイナス幅が大きかったのは海運、ガラス・土石、非鉄金属、水産・農林、電気・ガスなどだった。

  オリコ<8585>は32円高で売買高5位、売買代金7位。アイフル<8515>は68円高で値上がり率12位に入り、売買高は1億株を超えて3位、売買代金は2位だった。

  トヨタ<7203>は売買代金4位でも25円安と株価はふるわなかった。マツダ<7261>は売買高2位、売買代金8位に入りながら値動きなし。ただ、出遅れ感があった日産<7201>は売買代金10位と買いを集め21円高で昨年来高値を更新した。中国での販売不振が12月も続いたホンダ<7267>は20円安だった。

  任天堂<7974>は一時1万円台を回復するなど320円高と好調。ソニー<6758>は投資判断の引き上げが相次いでいることもあり117円高で、売買高4位、売買代金1位と買われた。武田<4502>はアメリカで糖尿病の新薬の販売許可を取得したニュースが好感され65円高。大和ハウス<1925>、セブン&アイHD<3382>は昨年来高値を更新。

  値下がり率ランキング上位に大型株、値がさ株が顔を揃え、4位は前週、業績予想を下方修正したファナック<6954>で、下げ止まらず4ケタの1020円安。売買代金3位で日経平均を40円も押し下げた。5位は防衛省への過大請求の問題が報じられた島津製作所<7701>。6位は営業益下振れ観測も出たアドバンテスト<6857>で、70円安で日経平均を5円押し下げた。9位には三菱電機<6503>、10位には大日本スクリーン<7735>が入った。

  29日朝方の為替レートはドル円が90円台半ば、ユーロ円が121円台後半と円高が進み、NYダウは14ドル安と7日ぶりに反落。日経平均は73.30円安の10751.01円で始まった。それでも前場に前日比プラス圏に浮上。後場は10900円台に伸ばしたが為替レートの変動に伴って戻し、終値は42.41円高の10866.72円だった。

  買われた業種は鉱業、銀行、鉄鋼、石油、証券など。売られた業種は建設、小売、繊維、不動産、サービス、陸運などだった。

  保有株式の評価損が縮小という報道が好感されたメガバンクは好調で、三井住友FG<8316>は145円高、みずほ<8411>は5円高、三菱UFJ<8306>は18円高になり、ともに昨年来高値を更新した。野村HD<8604>は8円高。オリコ<8585>は13円安、アイフル<8515>は28円安、マツダ<7261>は8円高だった。

  前日、決算発表を行ったKDDI<9433>は終値180円高と反発して昨年来高値を更新し日経平均を7円押し上げた。「3月31日を基準日として1株を2株に分割する」という株式分割の発表が好感された。

  4日連騰だったソニー<6758>は22円安と下落。それでも3日連続で売買代金1位。前日4ケタ安のファナック<6954>は底を打って380円高と上昇した。アドバンテスト<6857>は後場に崩れて値を戻しきれず15円安。

  信越化学<4063>の決算発表は営業利益3%増で通期業績見通しは据え置き。市場の反応は乏しく終値は20円安。ヤクルト本社<2267>の決算も通期見通しは据え置きだったが、一時190円高まで上昇している。前田建設工業<1824>は決算内容が悪く業績予想を下方修正して値下がり率4位の51円安だった。値下がり率8位には、投資判断を引き下げられた大日本住友製薬<4506>が入った。

  30日朝方の為替レートはドル円は90円台後半、ユーロ円は122円台半ばで前日より若干円安。NYダウは72ドル高。日経平均始値は47.25円高の10913.97円と10900円台を回復して始まり、その後の株価は底堅く、前場に11000円にもタッチした。終値は247.23円高の11113.95円と、終値大台乗せプラス100円以上のおまけがついて高値引け。

  大きく上げた業種は不動産、倉庫、建設、証券、情報・通信、石油・石炭、陸運などで、下げた業種は電力・ガスだけだった。

  ソフトバンク<9984>は営業利益1割増で過去最高の見込みという報道で110円高。売買代金8位と活発に買われた。KDDI<9433>も200円高で続伸。ヤフー<4689>は業績予想の上方修正や自社株買い発表で4年ぶりの高値をつけて値上がり率4位。ファーストリテイリング<9983>は990円高、ファナック<6954>は430円高で、ソフトバンクとともに日経平均寄与度の1~3位を占め日経平均を約70円押し上げた。信越化学<4063>、京セラ<6971>、決算発表前のキヤノン<7751>なども上昇。メガバンク3行は続伸し昨年来高値を更新し、ノンバンク2社は揃って反発した。

  通期業績見込みが営業利益2割増になると報じられた村田製作所<6981>、通期で80億円の黒字と報じられた川崎汽船<9107>、業績予想を純利益95億円に上方修正した日本取引所グループ(JPX)<8697>、好決算の発表が相次いだ中小証券株は株価を上げていた。野村HD<8604>も上昇。船井電機<6839>はフィリップスの音響機器部門を買収するニュースが好感されて117円高と買われ、値上がり率13位に入った。

  JR東海<9022>は500円の大幅高で昨年来高値を更新した。業績好調に加え、来年10月に開業50周年を迎える新幹線の若返り工事を前倒しで実施するニュースで買われた。

  主力株で目立ったのが「決算が悪くても終値はプラス」というパターン。コマツ<6301>は悪材料出尽くしなのか前場にプラスに転じ52円高。日立建機<6305>は74円高で昨年来高値更新。三菱地所<8802>は決算が営業利益2割減にもかかわらず上昇し、三菱倉庫<9301>とともに昨年来高値を更新した。富士フイルムHD<4901>は前日、通期予想下方修正の決算を出したが終値は5円高だった。

  ソニー<6758>は続落しパナソニック<6752>、シャープ<6753>ともどもカヤの外。東芝<6501>、日立<6502>もマイナスで、日産<7201>も売られた。

  31日は400社近くの4~12月期決算が集中した。FOMCではQE3継続を決めたがGDP成長率が予想外のマイナスでNYダウは44ドル安。朝方の為替レートはドル円が91円近辺、ユーロ円が123円台後半で、ユーロ高が進行した。

  日経平均は56.45円安の11057.50円で始まったが、前場はマイナスとプラスの間で浮いたり沈んだりし、後場はずっとマイナス圏だった。それでも11000円の大台は割り込まず底堅い。午後2時台に日経平均がマイナス幅を徐々に圧縮し、大引けの約15分前にはプラス圏に浮上。結局、終値は24.71円高の11138.66円。その間にファーストリテイリング<9983>が40円安から240円高まで駆け上がり、花王<4452>が20円以上急騰した。

  業種別では海運、鉄鋼、紙パルプ、証券、銀行、情報・通信の上昇が目立ち、その他製品、建設、保険、食品などが低調だった。海運株は売買高5位、売買代金7位の商船三井<9104>と売買高7位の川崎汽船<9107>の活躍がめざましかった。情報・通信はソフトバンク<9984>、ドコモ<9437>、KDDI<9433>のモバイル組だけでなく、ふだんは地味なNTT<9432>も買われた。

  メガバンクは、5円高のみずほ<8411>は売買高1位、18円高の三菱UFJ<8306>は同2位、33%増益決算を発表し180円高の三井住友FG<8316>は売買代金2位に入った。鉄鋼株は売買高6位に新日鉄住金<5401>、10位に神戸製鋼<5406>が入り、12円高の新日鉄住金と90円高のJFE<5411>が昨年来高値を更新した。オリエンタルランド<4661>は130円高と続伸し昨年来高値更新。4~12月期の純利益は73%増で過去最高。自社株買いを発表したユニチャーム<8113>は85円高だった。自動車株では来期の予想を上方修正した日野自動車<7205>が16円高で16年ぶりの高値をつけた。日産<7201>は4円高。ホンダ<7267>は30円高。電機のソニー<6758>、パナソニック<6752>、シャープ<6753>は続落した。

  この日、決算発表で売り浴びせられたのが任天堂<7974>で、480円の大幅安で値下がり率7位。「Wii U」の販売不振で当初の黒字見通しが一転、2期連続営業赤字に。決算が市場予測を下回ったキヤノン<7751>も下落。一方、経常利益33%減の日立建機<6305>は通期見通しを下方修正しなかったのが好感され69円高と続伸した。

  1月の取引が終了し、日経平均は大発会から7.14%上昇した。売買高が30億株を下回る日は1日もなく、売買手数料収入増という形で証券各社の業績も株価も押し上げた。野村HD<8604>は11円高で売買高も売買代金も3位で、大和証券G<8601>は24円高で昨年来高値を更新した。

  2月1日朝方の為替レートはドル円が91ドル台後半、ユーロ円が124ドル後半。NYダウは49ドル安。2月のスタートは日経平均55.06円高の11193.72円。11200円台に何度もタッチしながら前場は11100円台で推移したが、後場はユーロ円が125円台に、続いてドル円も92円台に乗せるなど円安が進行し、日経平均は11200円台に定着した。ところが、大引けの30分ほど前から11100円台に逆戻り。大引け直前は上がったが、終値は52.68円高の11191.34円で今週の取引を終えた。それでも日経平均週足は12週連続で上昇し、1959年以来54年ぶりの記録に。

  業種別では鉄鋼、自動車が強く、情報通信、食品、小売、機械が続いた。逆に下落したのは海運、紙パルプ、ガラス・土石、証券、不動産、電力、電機などの業種だった。

  鉄鋼株はコスト改善で赤字幅縮小の決算を発表した神戸製鋼<5406>が続伸し売買高9位。JFE<5411>は前日、下方修正を発表しても円安メリットへの期待から7日続伸した。新日鉄住金<5401>も2円高で続伸し売買高10位。自動車株は、トヨタ<7203>が10円高で一時株価4500円の大台に乗せ売買代金1位に入った他、ホンダ<7267>が10円高で売買代金9位、マツダ<7261>が11円高で売買高2位、売買代金8位、三菱自動車<7211>が8円高で売買高5位と、まさに大商いを伴って上昇した。自動車部品のデンソー<6902>も80円高で日経平均上昇に寄与している。

  情報通信ではソフトバンク<9984>が売買代金2位と活発に買われた。185円高で、昨年9月の大型買収で凹んだ株価を取り戻し、昨年来高値を更新した。NEC<6701>も19円高と急伸し昨年来高値更新。ファーストリテイリング<9983>は770円高で日経平均を30円押し上げ、通期業績や配当見通しを上方修正したJT<2914>も上げ足好調。地銀の北洋銀行<8524>は値上がり率3位に入っている。

  メガバンクの上昇は1円高のみずほ<8411>だけ。野村HD<8604>は14円安で7日ぶりに反落した。ソニー<6758>は7円安でファナック<6954>は80円安。決算が悪かった日本ガイシ<5333>は値下がり率10位、資生堂<4911>は値下がり率6位、ヤクルト本社<2267>は値下がり率3位。大幅減益の三菱商事<8058>、通期業績下方修正のエーザイ<4523>は決算発表直後に大きく下落した。キヤノン<7751>はユーロ高にもかかわらず45円安とふるわなかった。

  10~12月期の営業利益が黒字転換と報じられたシャープ は18円高で売買高8位と買いを集めた。省エネ・高精細の「IGZO」液晶パネルが好調で、大引け後に10~12月期26億円の営業黒字と発表された。

  

来週の展望 円安基調のもと変動幅が小さい静かな週間か

  「節分天井、彼岸底」という兜町の言い習わしがある。理屈では説明できない「アノマリー」の一種で、昨年は節分の頃の低迷から2月14日の日銀の「バレンタインデー緩和」で株価上昇に火がつき、春の彼岸を通り越して3月27日の1万円超えの高値に向かって駆け上っていったので、全く逆の「節分底、彼岸天井」だった。それでも「今年は当たる」と思うなら、1日が天井で、節分の3日を過ぎて4日の立春から始まる来週は、3月20日の春分の日に向かって下落トレンドに転換することになる。

  しかし、今週の勢いづいた円安トレンドを見ていると、いきなり円高に転換して日経平均を下落させるとは思えない。アメリカ企業の決算はおおむね好調でNYダウを史上最高値に手が届くところまで押し上げ、QE3をどうやって終わらせるかという「出口戦略」論議がおおっぴらに語られている有様。日本企業の4~12月期決算発表も、「通期業績上方修正」ならまず株価上昇確実で、業績見通し据え置き、あるいはたとえ下方修正でも、円安メリットが出るなど「来期は明るい見通し」なら買われている。その主力企業の4~12月期決算発表は、来週も続く。

  <主要企業の決算発表予定>、4日 武田薬品<4502>・日立<6501>・三菱電機<6503>・三井物産<8031>・住友電工<5802>・三菱地所<8802>・JAL<9201>・IHI<7013>・住友商事<8053>、5日 トヨタ<7203>・ 伊藤忠<8001>・ 花王<4452>・ 東京エレクトロン<8035>・旭化成<3407>・双日<2768>・横浜銀行<8332>・三菱自動車<7211>・JXホールディングス<5020>・イビデン<4062>・GSユアサ<6674>、6日 三菱重工<7011>・マツダ<7261>・富士重工<7270>・ニコン<7731>・三井不動産<8801>・NTT<9432>、7日 大成建設<1801>・清水建設<1803>・鹿島<1812>・ソニー<6758>・DENA <2432>・富士通<6702>・住友不動産<8830>・大日本印刷<7912>・スズキ<7269>・旭硝子<5201>・ヤマダ電機<9831>・セコム<9735>・コナミ<9766>・東レ<3402>、8日 大和ハウス<1925>・太平洋セメント<5233>・ルネサスエレクトロニクス<6723>・日産<7201>・いすゞ<7202>・大日本スクリーン<7735>・三越伊勢丹HD<3099>・三井住友建設<1821>。

  今週はコマツの決算が悪く、キヤノンの本決算も市場予測を下回ったが、「コマツショック」も「キヤノンショック」も起こらなかった。昨年、ソニーやパナソニックやシャープが巨額最終赤字を発表して市場に衝撃が走り、その後もしばらく尾を引いた頃と比べると、市場の様相はガラッと変わっている。個別株はともかく、企業決算が株式市場全体に与える影響度は小さくなっている。

  むしろ経済指標のほうがインパクトがある。国内では6日に新車販売台数、7日に機械受注、8日に経常収支、貿易収支と景気ウォッチャー調査が出る。景気ウォッチャー調査は1月分の速報なので、アベノミクスへの期待でどの程度、景気に明るい兆しが現れているか推し測れそうだ。

  アメリカでは4日に製造業受注、5日にISM非製造業景気指数、6日にMBA住宅ローン申請件数、7日に消費者信用残高と新規失業保険申請件数、8日に貿易収支がそれぞれ発表される。ヨーロッパでは4日にユーロ圏生産者物価指数(PPI)、5日にユーロ圏の非製造業PMIと小売売上高が出る。7日にはECB理事会が開催され、政策金利が発表されてドラギ総裁が記者会見する予定。また、7~8日はEU首脳会議が開かれる。ヨーロッパ経済の暗雲はまだ晴れないのだろうか。中国については8日の生産者物価指数、消費者物価指数に注目。その翌日の9日から15日まで1週間、旧正月の春節休暇に入る。春節商戦はどれぐらい盛り上がるだろう。なお、5日のオーストラリア準備銀行理事会は、中国の景気の先行きをどう判断したかをおさえたい。この国は今、石炭や鉄鉱石など資源の輸出を通じた中国経済への依存度が非常に高まっている。

  経済指標よりもある意味怖いのは、円安トレンドにブレーキをかける政治家の発言だろう。今週は出なかったが、引き続き要警戒。ユーロ高が急に進んだので、来週はECB理事会とEU首脳会議が開かれるヨーロッパ方面が気になる。円安を槍玉にあげて日本を非難する首脳が現れるかもしれない。

  週末8日の東京市場は、オプションだけのマイナーSQ算出日。朝方は11250円の刻みをめぐる攻防か。ただ、この日は日本は3連休前で、中国は春節休暇前なので、後場に利益確定売りが多く出ることが予想される。久しぶりにマイナスで終わる金曜日になるかもしれない。

  それでも来週は円安基調に変わりはなく、下げても11000円近辺で押し目買いが入ると思われるので、日経平均は11000円~11300円の範囲で動くと思われる。波乱がなく株価変動が小さい静かな週間になりそうだ。(編集担当:寺尾淳)