【今週の振返り】薄商いで息切れし40円下落したメジャーSQ週

2016年06月11日 20:14

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雇用統計ショックでも大幅安は避けられ、メジャーSQ週の火曜、水曜は連騰。「いつもと違うぞ」と思わせたものの、商いが薄くてエネルギーが続かなかった。

 6日の日経平均は反落。3日のNYダウ終値は31ドル安。NASDAQは8営業日ぶりに下落した。5月の雇用統計は非農業部門雇用者数の伸びは3.8万人で市場予測の15.5万人も4月の12.3万人もはるかに下回った。しかし完全失業率は4.7%で4月から0.3ポイントも下がり、リーマンショック前の2007年11月以来の低水準。平均時給も25.59ドルで+2.5%と悪くなかった。6月利上げ観測は大きく後退し、発表直後は為替のドル安円高が進行しダウは一時150ドル近い下落をみせた。ISM非製造業景況指数は52.9で4月の55.7、市場予測の55.3を大幅に下回り、製造業受注は4月比で+1.9%で市場予測と一致。原油先物価格は下落して48ドル台。ドル安がさらに進行しドル円は106円台半ば。CME先物清算値は16330円。6日朝方の為替レートはドル円が106円台前半、ユーロ円が120円台後半で、ユーロ安も進行した。

 5日の沖縄県議会選挙の結果は安倍内閣と対立する翁長知事の与党勝利。4日に東海地方から西日本にかけて、5日に関東・甲信越が梅雨入り。お天気もマーケットも暗雲がたちこめ、日経平均は268円安の16373円で始まる。東京時間に入って為替市場でドル安円高にストップがかかり、安値は9時5分の16322円どまり。序盤は16300円台後半で16400円台にも時々タッチする。円高に加えてアメリカ雇用統計の「3.8万人ショック」を織り込んで「日経平均16000円割れ、TOPIX1300割れ」タッチも想定されたが、大幅マイナスながら意外に底堅い。9時台は16400円付近で小動きしたが、10時台になると16400円台半ばまで水準を上げる。上海市場はプラスで始まるがすぐ下落してマイナスに。日経平均は相変わらずの薄商いの中、16400円半ばの小動きが続く。前引けは189円安の16452円だった。

 上海市場は前日終値付近で動いたが、わずかなマイナスで午前中の取引を終える。昼休みの間に為替のドル円が107円にタッチした。円安は全てを癒すで後場の日経平均は下げ幅を圧縮し、再開直後16500円台に乗せて0時50分に2ケタ安の16542円まで上昇。1時台は割り込む時間帯もあったが、おおむね16500円台維持。再開した上海市場は下げ幅をどんどん拡大するが、日経平均は2時台も16500円台を維持して安定する。イエレンFRB議長が6日の講演で何を言うか待ちで為替のドル円は107円前後で小動き。終盤は高値を取りながら上昇し、2時59分に16581円まで上がって終値は16580円高、62円安まで下げ幅を圧縮した。TOPIXとともにほぼ高値引け。東京市場は「雇用統計ショック」による株安の地球周回を止められなかったが、ザラ場中はほぼ上昇一方で雇用統計ショックを癒すような健闘をみせていた。

 日経平均終値は62.20円安の16580.03円、TOPIX終値は-4.80の1332.43。売買高は18億株、売買代金は1兆8267億円で薄商いはなおも続く。値上がり銘柄数は595、値下がり銘柄数は1233。プラスは9業種で、その上位は鉄鋼、電気・ガス、陸運、非鉄金属、情報・通信、食料品など。マイナスは24業種で、その下位は証券、鉱業、保険、銀行、その他金融、機械など。上海総合指数も終盤下げ幅を圧縮し0.15%安で終えた。

 7日の日経平均は反発。週明けのヨーロッパ市場は揃って上昇。NYダウは113ドル高。NASDAQもS&P500もプラスで、S&P500は昨年5月の史上最高値まであと少し。雇用統計への反応はドル安でも「利上げ遠のく」解釈でプラスで始まり、労働市場情勢指数(LMCI)が-4.8ポイントと7ヵ月連続で低下しても、原油先物価格が49ドル台まで上昇したので相殺。午後にイエレンFRB議長のフィラデルフィアでの講演「経済見通しと金融政策」の内容が伝わると、直後にドルと連動していったん下げたもののすぐに元に戻り、結局3ケタ上昇で終えた。

 イエレン議長は3日の雇用統計について「サプライズ」「失望した」と言って政策変更の必要性をほのめかし、やや弱気な早期利上げに慎重な姿勢を見せたが、アメリカ経済は依然回復基調にあり「1回だけのデータを重視すべきではない」と楽観的な見方も示して、利上げ時期には言及しなかった。「利上げは6月はまずなく、7月も微妙。秋以降か?」とマーケットに安心感をもたらすニュアンスで、「それを通過する」こと自体に意義があるイベントだった。長期金利は上昇し金先物価格も上昇。朝方の為替レートはドル円が107円台半ば、ユーロ円が122円台前半で円安進行。CME先物清算値は16655円。

 日経平均は71円高の16651円で始まる。TOPIXもプラス。序盤は9時5分に16609円まで下落した後、9時9分に16668円まで急騰する乱高下。その後、円高に連動して16600円を割り込んでマイナスに落ち、9時38分に16536円まで下落する。朝からさっそく「メジャーSQ週の火曜日」の鬼のお出まし。だがまだそれは地獄の一丁目なのか9時台のうちにプラスに戻す。10時台はマイナスにタッチした後に16600円台に戻して16640円付近まで上昇。為替も円安方向に変わり107円台後半。上海市場は前日終値付近の乱高下の後にマイナスへ深く沈む。ノーベル賞の山中伸弥教授が関わる理化学研究所の臨床研究プロジェクトのニュースが報じられ、新興市場のヘリオス<4593>などiPS細胞、バイオ関連銘柄に買いが入る。11時台は16600円台前半で値動きが落ち着き、前引けは59円高の16639円だった。

 上海は小幅マイナスのままで午前の取引を終える。後場の日経平均は前引けより40円ほど上げ幅を拡大し再開。ドル円は円安に振れていた。1時42分に16700円にタッチして16701円の高値をマーク。ドル円が円高方向に振れるとプラス幅が縮小し16660円付近まで下げるが、突然の仕掛け売りにあらず。2時に4月の景気動向指数の速報値が発表され、一致指数は112.2で前月比2.0ポイント上昇、先行指数は100.5で1.4ポイント上昇。景気の基調判断は「足踏みを示している」で据え置き。上海は小幅マイナスで再開してプラスに転換する。2時台の日経平均は16650~16690円の狭いレンジで小動きが続き、先物主導の売り崩しの気配もない。そのまま大引けになり、95円高の16675円と反発。25日移動平均線を超えて着地した。

 日経平均終値は95.42円高の16675.45円、TOPIX終値は+8.34の1340.77。売買高は16億株、売買代金は1兆7798億円。値上がり銘柄数は1152、値下がり銘柄数は642。プラスは27業種で、その上位は鉱業、石油・石炭、その他製品、電気・ガス、非鉄金属、保険など。マイナスは空運、パルプ・紙、食料品、鉄鋼、輸送用機器、繊維の6業種だった。上海総合指数は0.06%高で終えている。

 8日の日経平均は大幅続伸。ヨーロッパ市場は揃って続伸し、NYダウも17ドル高で続伸し1ヵ月ぶりの高値だったがNASDAQは反落。S&P500は小幅プラスでも年初来高値更新。1~3月期の非農業部門の労働生産性指数改定値は年率換算-0.6%で、速報値から0.4ポイント上方修正され市場予測と一致した。消費者信用残高は年率換算+4.5%で3月の+9.6%から伸びが鈍化。原油先物価格は終値で50ドル台に乗せ、エネルギーセクターを上昇させダウの最大の支援材料だった。朝方の為替レートはドル円が107円台前半、ユーロ円が122円近辺。CME先物清算値は16710円。

 取引時間前に発表された経済指標は、1~3月期の実質GDP改定値は年率換算+1.9%増で、5月18日の速報値の+1.7%から上方修正。設備投資が大幅に、個人消費が小幅に上方修正され市場予測とほぼ同じ。うるう年効果もあり安倍内閣の目標2%に近くなったが、目標の達成は年末までに失速しなければの話。4月の国際収支は1兆8785億円の黒字で22ヵ月連続の黒字だが、市場予測は下回った。貿易収支は6971億円の黒字。5月上中旬の貿易統計は5745億円の赤字。

 日経平均は47円高の16722円で始まる。TOPIXもプラス。序盤は16700円を割って前日終値付近で小動きするが、9時台後半に上昇して9時47分に16739円まで上昇する。しかし10時台は前日終値付近まで押し戻され、TOPIXはマイナス。「端午節」の連休前日の上海市場は小幅なマイナスで始まるが下げ幅を次第に拡大していく展開。日経平均もマイナス圏で下放れし、ついにお出ましのメジャーSQ週の水曜日の「鬼」。為替のドル円は107円付近から106円70銭台まで一気に円高が進み、日経平均は10時59分の16581円までおよそ100円の下落をみせた。月に1度、必ず来るはずの「需給のお仕置き」が来ることで、その先に進めるリズム。11時台は16600円台を回復して、前引けは55円安の16620円だった。

 上海市場はマイナスでも下げ幅を圧縮して午前中の取引を終える。昼休み中にニュージャージー州、カリフォルニア州などの予備選の結果を受けクリントン候補が民主党大会での指名獲得勝利宣言。彼女はマーケットの「女神様」なのか為替のドル円が107円にタッチして先物が値を上げ、後場の日経平均は55円上昇しわずか57銭ながらプラス転換して再開。TOPIXはマイナス。すぐに16700円、16750円を突破し高値更新の態勢に入る。0時46分に16786円まで上昇するが16800円には届かない。1時30分に4月の特定サービス産業動態統計速報値が発表され、対事業所サービスは10業種のうち7業種が増加、対個人サービスは10業種中4業種が増加。遊園地・テーマパーク、クレジットカード、フィットネスクラブは良かったが、天候不順でゴルフ場、ゴルフ練習場は悪かった。為替のドル円が円高方向に折り返して107円を割り込むと日経平均も少し下がるが、16700円台はしっかり堅持する。