【今週の振り返り】消費増税延期発表を境に下げ192円下落した週

2016年06月04日 20:16

0205_006

消費増税の2019年10月までの先送りはやっぱり株価はすでに織り込み済みだった。「噂で買って、事実で売る」というより、太陽は、正式発表されなくても沈んだ?

 5月30日の日経平均は4日続伸。ヨーロッパ市場は揃って小幅続伸。歴史的なヒロシマ訪問を終えたオバマ大統領が「エアフォース・ワン」で帰国中、イエレンFRB議長がハーバード大学で今後数カ月以内の利上げを示唆しドル高が進行。原油先物価格は小幅高。金先物は8日続落で3ヵ月ぶりの安値に沈んだ。1~3月期のアメリカの実質GDP改定値は年率換算+0.8%で、速報値+0.5%から上方修正。ミシガン大学消費者信頼感指数確定値は94.7で速報値から下方修正され市場予測も下回ったが、それでも高水準。前週末27日のNYダウは3連休前で薄商いだったが44ドル高と反発し、NADAQ、S&P500も上昇した。CME先物清算値は16910円。30日朝方の為替レートはドル円が110円台後半、ユーロ円が122円台半ば。

 伊勢志摩サミットと関連イベントが前週で終了し、財界首脳から政策期待発言続々。榊原経団連会長は「消費喚起、投資促進など需要創造に資する大規模な財政出動を伴う経済政策」、三村日商会頭は「成長戦略をはじめとした政策の早期かつ確実な実行」を求めた。安倍首相が消費増税を2019年10月まで再延期する意向を与党幹部に示したと一部の報道。まだ本決まりではないが、日経新聞とテレビ東京の世論調査で安倍内閣の支持率は56%に上昇した。

 取引時間前に4月の商業動態統計速報が発表され、小売業販売額は全体で-0.8%。4月8日の中国政府の関税率引き上げが「爆買い伝説」を終わらせ、百貨店は既存店ベースで-3.6%。スーパーは既存店ベースで+0.8%。合わせて-0.7%で全店ベースでは-0.1%。コンビニは+4.5%で好調を維持した。基調判断は「弱含み傾向」で据え置き。

 日経平均は138円高の16973円と高く始まる。9時1分に16979円まで上昇し、17000円まであと21円。9時16分に16910円まで下がるが、その後は16900円台前半の水準を維持して安定し、10時30分頃までそのまま推移する。上海はマイナスで始まったが下げ幅を次第に圧縮する展開。為替のドル円が10時台後半から円安方向に大きく振れ、それに同調して日経平均も上昇開始。11時台には16900円台後半で上値を追い高値更新が続く。11時27分、ドル円は111円台にタッチした。前引けは150円高の16985円で、ほぼ高値引け。17000円まであと15円。

 上海市場はプラスに転じて午前の取引を終えた。ドル円は111円より少しだけ下だが、後場の日経平均はザラ場ベースで4月28日以来の17000円の大台に乗せて17021円で再開する。時間が経過しても大台から落ちそうで落ちないまま、1時台に入る。ドル円が何度もタッチした後で111円台に定着すると1時25分に17036円の高値をつけるが、前週から続いている薄商いでそれ以上は上値を追えない。愛知県のアイシン精機<7259>の子会社で爆発事故が起きたが全体は反応薄。上海市場は小幅プラスで再開するが、プラスとマイナスの間を行ったり来たり。日経平均の17000円よりも少し上の水準の値動きは2時台も続くが、終盤になって「消費増税の先送りを与党が了承」というニュース速報が流れると、為替の円安を伴ってにわかに上昇して高値更新が続いて、高値引け。終値は233円高の17068円で4日続伸した。17000円台は終値ベースでは4月27日以来のこと。それは何も出なかった日銀会合の前日。

 日経平均終値は233.18円高の17068.02円、TOPIX終値は+16.08の1366.01。売買高は15億株、売買代金は1兆5604億円で、英米市場が3連休中で外国人がお休みなのか今年最少を更新。値上がり銘柄数は1534、値下がり銘柄数は307。プラスは31業種で、その上位はパルプ・紙、輸送用機器、ガラス・土石、海運、電気機器、精密機器など。マイナスは空運、鉄鋼の2業種。上海総合指数は最後まで前日終値付近でもみ合った末、0.04%高だった。

 5月31日の日経平均は5日続伸。30日のアメリカのNY株式市場、CMEは「メモリアル・デー」、ロンドン市場は「バンクホリデー」で休場。ユーロ圏景況感指数が改善し、ドイツDAX指数、フランスCAC指数とも5日続伸。6月2日のECB理事会は金融政策現状維持という見方が有力。朝方の為替レートはドル円が110円台後半、ユーロ円が123円台後半だった。

 月末なので、取引時間前に4月の政府発表の経済指標がまとめて発表された。家計調査の二人以上世帯の実質消費支出は-0.4%で2ヵ月連続のマイナスだが市場予測の-1.3%よりも良かった。勤労者世帯の消費支出が+1.4%でプラス。完全失業率は3.2%で市場予測と同じ。有効求人倍率は1.34倍で3月より0.04ポイント上昇し、1991年11月以来24年5ヵ月ぶりの高水準。市場予測の1.30倍を上回った。新規求人倍率も正社員の有効求人倍率も上昇。有効求人倍率は全都道府県で1倍を上回り、東京都は2.02倍で1974年6月以来の水準。「爆買い伝説の終わり」の影響は、まだ出ていない模様。鉱工業生産指数速報値は+0.3%で市場予測の-1.5%を大きく上回り、2ヵ月連続の上昇。基調判断は「一進一退で推移している」で据え置いた。

 経済指標はどれも市場予測を上回ったが、為替のドル円が円高に振れて111円を割り込んだため日経平均は38円安の17029円で始まる。TOPIXもマイナス。前日は割らなかった17000円の大台を序盤で割り込み、9時4分に16988円まで下げるものの一時的。すぐに大台に戻しTOPIXとともにプラスにタッチ。しかしタッチしただけで、後は17000円を少し超える水準でウロウロする。9時台に何度かプラスにタッチした後、10時台に上抜けてプラス浮上。ドル円レートは円安方向に戻って111円台。上海市場はプラスで始まってどんどん上値追い。日経平均も上値追いして高値を更新する。朝、北朝鮮のミサイルは打ち上げに失敗したが、日中の株価は順調に上昇を続ける。10時台のうちに17100円を超えて17150円にタッチし、上海市場は上昇幅が2%を超える。11時台も高値更新が続き、11時21分に17166円まで上昇。前引けは83円高の17151円だった。

 正午発表の4月の建設機械出荷額は-9%で9ヵ月連続で前年実績割れ。上海市場は2.43%の大幅高で午前の取引を終了。為替の円安がなおも進行し、日経平均は前引けよりも高い水準で再開しすぐに17200円にタッチ。0時54分に17217円まで上昇する。4月の自動車生産台数は-9.7%減で2ヵ月ぶりのマイナス。自動車輸出台数は-2.8%で3ヵ月ぶりのマイナス。為替が円高方向に反転して1時台は17200円を割り込むが、2時台には再び超える。再開した上海市場はさらに高値を更新しプラス幅は3%を超える。2時発表の4月の新設住宅着工戸数は+9.0%で市場予測の+3.8%を大きく上回り4ヵ月連続の上昇。為替はそれほど動かないが日経平均はなお上値追い。2時28分に17251円の高値をマーク。はるか上空の〃宇宙空間〃を周回していた17868円の200日移動平均の背中もうっすら見えてきた。月末の「ドレッシング買い」のおかげだとするなら、こんな厚化粧は久しく見たことがない。MSCIの銘柄入れ替えもかなりのインパクトがあった模様。終値は166円高の17234円で今年初めて5営業日続伸。TOPIX終値は1380にわずかに及ばなかった。

 日経平均終値は166.96円高の17234.98円で、TOPIX終値は+13.79の1379.80。売買高は25億株で8営業日ぶりの20億株オーバー、売買代金は2兆8740億円で9営業日ぶりの2兆円オーバーで、薄商いから脱却。値上がり銘柄数は1336、値下がり銘柄数は475。プラスは32業種で、その上位はゴム製品、鉄鋼、鉱業、銀行、電気・ガス、電気機器など。マイナスは円安でデメリットが出る石油・石炭1業種だけ。上海総合指数は3.34%の大幅高で終えた。

 5月の取引が全て終了。4月の最終営業日28日の終値16666.05円から568.93円上昇して今週の取引を終えた。「セル・イン・メイ(Sell in May/5月に売れ)」と言われるが、大型連休直前の「日銀会合何もなしショック」を癒しながら、後半は「閑散に売りなし」で2ヵ月ぶりのプラスの月になった。