パテント・リザルトは、独自に分類した医薬品業界の企業を対象に、2015年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を企業別に集計した「医薬品業界 他社牽制力ランキング2015」をまとめた。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになるという。
集計の結果、2015年に最も引用された企業は、Pfizerの432件、次いでNovartisの356件、F. Hoffmann-La Rocheの274件となった。
1位Pfizerの最も引用された特許には、「癌などの異常細胞成長障害の治療薬」に関する特許(特願2007-529039)および「低粘度のタンパク質製剤」(特許第5405122号)、「インフルエンザVLPの製造方法」(特許第5008244号)、「睡眠障害の処置」(特許第4402882号)などの計7件が挙げられ、いずれも後発の特許4件の審査過程で拒絶理由として引用されている。
2015年に、Pfizerの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はNovartisの21件、次いでAllergan、Genentech、F. Hoffmann-La Rocheの各8件と続いている。
2位Novartisの最も引用された特許は、Genentechとの共同保有である「皮下投与に適した低粘度のタンパク質製剤」(特許第4340062号)で、後発の特許7件の審査過程で拒絶理由として引用されている。企業別にはGenentechの2件をはじめ、AbbVie Biotechnology、MedImmune、Novo Nordiskなどの各1件となっており、共同保有者のGenentechは、同様の特許を単独でも継続的に出願していることがわかる。
2015年に、Novartisの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はJohnson & Johnson Vision CareおよびBayer Intellectual Propertyの各17件、次いでGlaxosmithkline Biologicalsの8件となっている。
3位F. Hoffmann-La Rocheの最も引用された特許は、「中枢神経系(CNS)障害用の医薬品」に関する特許(特願2010-518626)、Genentechとの共同保有である「癌などの高増殖性疾患の治療」に関する特許(特許第5658565号)、MorphoSysとの共同保有である「抗アミロイドβ抗体」(特許第4383888号)の計3件が挙げられ、いずれも後発の特許4件の審査過程で拒絶理由として引用されている。
2015年に、F. Hoffmann-La Rocheの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はRoche Glycartの9件、次いでGenentechの7件、AbbVieおよび日立ハイテクノロジーズの各6件となっている。(編集担当:慶尾六郎)