パテント・リザルトは、独自に分類した石油・エネルギー業界の企業を対象に、2015年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を企業別に集計した「石油・エネルギー業界 他社牽制力ランキング2015」をまとめた。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになるという。
集計の結果、2015年に最も引用された企業は、出光興産の718件、次いで大阪ガスの619件、JXエネルギーの426件となった。
1位出光興産の最も引用された特許は、「電界効果型トランジスタ」に関する特許(特願2009-545426)で、後発の特許12件の審査過程で拒絶理由として引用されており、企業別には半導体エネルギー研究所の9件をはじめ、富士フイルムの2件、キヤノンの1件の審査に影響を与えている。このほかには「結晶質酸化物を用いた半導体デバイス」に関する特許(特許第5466939号)や「薄膜トランジスタ」(特願2009-532177)などが引用件数の多い特許として挙げられる。
2015年に引用された出光興産の718件の特許を分野別にみると「有機EL」が圧倒的に多く、「潤滑剤」「高分子化合物」と続いている。
2位大阪ガスの引用された件数の多い特許には、「エネルギー供給システム」(特願2009-121383)や、「電力量のデマンド制御システム」(特許第5276294号)などが挙げられ、それぞれ後発の特許5件の審査過程で拒絶理由として引用されている。企業別にみると、前者はパナソニックIPマネジメントの2件をはじめ、京セラ、デンソーの各1件などに、後者はエクォス・リサーチ、清水建設、ソニーの各1件などとなっている。
2015年に、大阪ガスの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はパナソニックIPマネジメントの37件となっており、東京ガスの30件、ノーリツの19件と続いている。
3位JXエネルギーの最も引用された特許は、筑波大学、春日電機との共同出願である「停電時における燃料電池などの分散型電源の自立運転」に関する特許(特願2006-193249)で、後発の特許9件の審査過程で拒絶理由として引用されており、企業別には京セラの8件、東京工業大学の1件となっています。このほかには「水素製造装置」(特許第4520100号)や、「カメラモジュール用液晶ポリマー」(特許第5325442号)などが引用件数の多い特許として挙げられる。
2015年に、JXエネルギーの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は出光興産の25件、次いで住友化学の21件、京セラの16件となっている。(編集担当:慶尾六郎)