大日本印刷などがタッチパネル向け「銀ペースト電極材」など開発

2012年05月08日 11:00

 大日本印刷と、大日本印刷の100%子会社で機能性材料の開発・販売を行うDNPファインケミカルが、タッチパネル向け機能性材料として、印刷やフォトリソグラフィー技術に用いる「銀(Ag)ペースト電極材」、「絶縁材」、「接着剤」の3製品を開発したと発表。DNPファインケミカルが、6月にこれら新製品の販売を開始する。

 銀(Ag)ペースト電極材とは、静電容量方式タッチパネルの取り出し電極をスクリーン印刷方式で形成する材料。従来スクリーン印刷方式では、線幅100マイクロメートル程度が生産上限界だったものが、本製品では50マイクロメートルまでの微細な配線が可能だという。さらに、100℃以下の低温で硬化するため、基材としてガラスだけでなく低温での処理が必要なプラスチックフィルムも利用でき、薄型・軽量が求められるモバイル機器のタッチパネルに適している。

 また、フォトリソグラフィー方式での絶縁膜形成に適した絶縁材や、透明性が高くディスプレーの視認性を損なうことのない液体タイプの接着剤も開発、販売を開始。タッチパネルメーカーなどへ積極的に販売し、2015年度に25億円の売上を見込んでいる。

 液晶テレビの全世界的な販売の不振や過剰在庫に伴う大幅な生産調整など、主要取引先の事業方針の転換や変更の影響を大きく受け、大幅に業績を悪化させた大日本印刷。5月2日には、2月10日に公表した業績予想、純利益80億円のプラスから164億円のマイナスへと大幅に下方修正するなど、厳しい状況にある。一方で、近年のスマートフォンやタブレット端末の急速な普及にともない、急拡大しているタッチパネル市場。今回の新製品は、この市場の拡大に乗った業績回復へとけん引するものとなれるのか。成長が見込まれる製品へのシフトという事業構造改革が、功を奏するか否かの試金石と言えるのではないだろうか。