市場調査・コンサルティング会社のシード・プランニングは、中国上海・深?証券取引所に上場している医薬品企業127社を対象に調査を行い、その結果をまとめた。
それによると、中国の上海・深?証券取引所に上場している医薬品企業127社の2015年総売上高は前年度より8.5%増の7兆1757億円で、1社当たり平均売上は565億円となり、前年度の521億円から大きく上昇したという。総売上高は2010年と比べて97.6%も増加しており、わずか5年間で2倍に拡大している。
しかし、ここ2年間の伸び率を見ると、2011年の19.7%増、2012年の16.2%増、2013年の19.0%増と比べて、急速に縮小していることが明らかになった。全体の64.6%に当たる82社の2015年度の伸び率は前年度の伸び率を下回っている。
中国の上場医薬品企業127社の2015年総売上高は前年度より8.5%増の7兆1757億円で、1社当たり平均売上は565億円となり、前年度の521億円から大きく上昇した。しかし、ここ2年間の伸び率を見ると、急速に縮小していることが明らかになったという。
2015年度の売上高が1000億円を超えた企業は20社ある。上位4社は3000億円を超えた。また、伸び率が20%を超えた企業は36社となっている。
2015年の上場医薬品企業125社の研究開発費合計は約2,435億円となり、対売上高比率は3.39%にとどまっていることがわかった。1社当たりの平均研究開発費は約19.5億円。研究開発費の対売上高比率を企業別にみると、ワクチンの製造販売を展開する沃森生物技術が26.6%で最も高く、次いで海思科医薬集団の15.77%、海南双成薬業の15.04%となっている、5社が10%台を超えた一方、11社が1%未満となっている。
日本製薬工業協会が公表した資料では、2010年の医薬品製造業の売上高に対する研究開発比率は12.02%となっている。日本企業の研究開発費に比べ中国企業の研究開発費はかなり少ないことがわかった。中国上場企業の研究開発比率は3.39%となっているが、非上場の中小企業を加えるとさらに少なくなると考えられるという。
また、中国化学製薬工業協会が公表した「中国化学製薬工業年度発展報告(2014年)」によると、2014年度の医薬品産業(化学医薬品、漢方薬、生物学的製剤、衛生材料など7分野)の売上高は前年より13.1%増の2兆4553億元(約41兆7400億円)となっていることが明らかになった。こちらの数値は、中国に進出している日本の製薬企業などの外資系企業が含まれており、外資系製品の市場シェアがますます拡大していることを示している。まさに、今では外資系企業抜きでは中国医薬品市場を語れない時代に来ているとしている。
一方、中国政府は、医療費(薬剤費)を抑制するために、医療制度や薬価制度などに対して様々な改革を行い、厳しい医療費抑制策の実施を求めている。また、中国経済成長の減速によって医薬品市場の成長も停滞するのではないかと懸念する声は少なくない。しかし、これから中国医薬品市場においては、①急速な高齢化の進展、②医療保険加入者の増加、③外来・入院患者の増加――という理由で医薬品市場は引き続き拡大していくと考えられているとしている。(編集担当:慶尾六郎)