住まい選びのポイントは様々だ。間取りや設備、太陽光発電システムをはじめとする省エネ性能、基礎や構造躯体、耐震などの防災性能、そして価格。いずれの場合も共通するのは「快適」であることだろう。
そんな住まいに求める快適さの中でも、ここ数年、消費者の注目を集めているのが「住宅内の空気」だ。住宅選びに空気? と首を傾げる方も多いかもしれないが、住宅の高気密化が進んだことにより、“室内の化学物質”によるシックハウス症候群が問題となり、2003年に24時間換気(空気の強制入れ換え)が義務化された。しかし近年は、屋内だけでなく、花粉症や中国から飛来するPM2.5をはじめとする“屋外の空気中の微小粒子”への懸念から、きれいな空気へのこだわりは年々増しており、住宅選びの重要なキーワードになっているのだ。
建物本体を構成する材料、接着剤等から揮発する化学物質(VOC)については、さまざまな症状を引き起こす「シックハウス症候群」の要因となる恐れがあり、より安全な材料を使った住宅が求められている。ところが、厚生労働省や国土交通省などが対策に乗り出して、室内濃度指針値を設けるなど行ってはいるものの、代替した物質が今度は原因物質になるなど、根本的な解決が難しいのが現状だ。
住宅メーカー各社も独自の技術力を駆使して、室内空気の改善と快適さの確保に乗り出し、頭打ちになりつつある省エネ開発競争にかわるセールスポイントとして力を入れはじめている。
例えば、木造住宅大手の住友林業は、全館空調システムに、「外気冷房」の機能をプラスし、機械と自然の力を上手く融合したハイブリッドなシステム「エアドリーム ハイブリッド」を展開している。冷暖房・空気清浄・換気・除湿の全館空調システムの基本性能をベースに、外の空気がここちよい時には、「外気冷房」で自然の空気を室内に運び込むことで、室内空気を自然な快適さに保つ。
また、大手住宅メーカーの中でもとくに室内空気環境に力を注いでいるのがパナホーム株式会社だ。同社は、建物本体を構成する材料、接着剤等から揮発する化学物質を抑制し、室内空気の揮発性有機化合物(VOC)の濃度を国際的な基準以下に低減することで、今年3月、世界で初めて、米国の第三者安全科学機関であるUL Inc.から、室内空気質に関する国際的な認証「住宅向けグリーンガード認証」(認証機関:UL)を取得し、基本性能を高めた戸建住宅 NEW『CASART(カサート)』を4月より新発売した。また、空気中のPM2.5をはじめとする微小粒子に対応したオリジナルの換気システムも採用。空気質のさらなる向上を図り、「屋外の空気を浄化して室内へ取り込み、室内からも化学物質を抑制する」住まいとして、空気質のさらなる向上を図っている。
たかが空気、されど空気。家族が長く快適に暮らすためにも、住宅選びの際には、空気にはこだわりたいものだ。(編集担当:藤原伊織)