【今週の振り返り】腹の探りあいを繰り返して374円下落した週

2016年08月20日 20:31

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「日銀のETF買い707億円は入るか?」「いや、きょうは入っていないようだ」口先介入、緊急会合、「追加緩和はある」。思惑と要人発言が複雑に交錯する、心理戦。

 18日の日経平均は大幅反落。公表されたFOMC議事録は利上げ慎重派が優勢でNYダウ終値は21ドル高。NASDAQもS&P500もプラス。朝方の為替レートはドル円が99円台後半、ユーロ円が113円台前半で円高が進行。CME先物清算値は16660円。大阪夜間取引終値は16670円。

 日経平均始値は95円安の16649円。高値は前引け11時30分の16714円。安値は2時50分の16481円。終値は259円安の16486円。7月の貿易収支速報値は2ヵ月連続の黒字5135億円。貿易黒字は円高要因だが、ドル円はそれを先取りしたかのように取引開始前に100円割れし、日経平均は始値を「寄り天」に序盤は大幅下落。16560円まで下げる。財務省の浅川財務官がこの日も口先介入するが、「同じ手に何度もひっかからない」とドル円は99円台後半のまま。しかし日経平均は「後場の日銀の707億円投入」を意識しながら回復軌道へ。10時台は16600円台後半まで下げ幅を圧縮し、11時台には16700円台に乗せ前引けは31円安の16714円。1時50分から金融庁、財務省、日銀が「情報交換会合」を開くニュースを受けてドル円レートが100円台に戻った後場はほぼ前引け水準で再開するが、0時台は16600円割れまで押し戻される。2時台前半までは、前内閣官房参与の本田悦朗駐スイス大使が「日銀は9月に大胆な金融緩和に踏み切る可能性がある」と発言したためドル円が100円前後で安定し、日経平均は16500円台後半で小動きして時々16600円にタッチするが、16日と同様「きょうは日銀の707億円が入らない」と見切られ、さらに情報交換会合で何も出なかったためドル円は100円を割り、終盤は下げ足を早めて16500円も割る。会合は開催することに意義がある? そんな腹の探りあいの心理戦も259円安の大幅安で大引けになった。

 日経平均終値は259.63円安の16486.01円、TOPIX終値は-20.34の1290.79。売買高は18億株、売買代金は2兆1485億円。値上がり銘柄数は304、値下がり銘柄数は1594。プラスはパルプ・紙1業種のみ。マイナスは32業種で、その下位は電気・ガス、医薬品、情報・通信、精密機器、不動産、海運など。上海総合指数は0.17%安だった。

 19日の日経平均は反発。アメリカの経済指標は材料にならず、原油先物価格は48ドル台を回復してNYダウは23ドル高。CME先物清算値は16535円。大阪夜間取引終値は16550円。NY時間の為替レートはドル円が99円台後半、ユーロ円が113円台前半だったが、朝方はドル円100円台前半、ユーロ円113円台後半まで円安が進行した。

 日経平均始値は72円高の16558円。高値は10時15分の16613円。安値は11時17分の16452円。終値は59円高の16545円。最近、為替の状況は朝に変わる。円安の進行を背景に序盤は16590円まで上昇するが、16600円台に乗せたのは10時台になってから。ところが、乗せた直後からまるで山が崩れるようにズルズル下げ始め、11時台に16500円を割っても止まらない。ドル円も100円台半ばから100円付近まで円高が進行するが、100円割れを起こしたわけではなく大規模な「仕掛け売り」が薄商いの東京市場をかく乱した。前引けは11円安で日銀のETF買いの「ライセンス」を一応手にする。後場は瞬間マイナスになっただけでプラス圏に戻ったが、上がっても16500円台半ばで、ドル円は100円台前半であまり動かなくなる。プラス圏ながら上値追いのエネルギーを欠いたまま、2時台は水準が少し下がって16500円台前半。利益確定売りの金曜日ではあるが、確定させるような利益も参加者も乏しいままに終了。小幅安ではタマがもったいないと思っているのか、結局、日銀は707億円砲を撃たなかった。

 日経平均終値は59.81円高の16545.82円、TOPIX終値は+4.88の1295.67。売買高は17億株、売買代金は2兆1億円と2兆円にほぼ完璧な着地で高得点? 値上がり銘柄数は982、値下がり銘柄数は826。プラスは19業種で、その上位は鉱業、鉄鋼、保険、輸送用機器、海運、石油・石炭など。マイナスは14業種で、その下位は陸運、医薬品、空運、その他製品、食料品、情報・通信など。上海総合指数は0.12%高だった。

 今週の星取は2勝3敗。前週末12日の終値16919.92円から374.1円下落して今週の取引を終えた。17000円は結局タッチできず、日銀のETF買いをめぐる腹の探りあいの心理戦は、神経をすり減らしただけ。高校野球とオリンピックが絶賛開催中で市場参加者も少なく、売買高は一度も20億株を超えなかった。真夏の昼下がりのように、けだるくあやういアンニュイな1週間だった。(編集担当:寺尾淳)