15年の靴業界686社の売上高合計は1兆1,560億9,400万円

2016年08月23日 08:08

 東京商工リサーチは、靴業界(靴の製造、卸売、小売業)の686社の動向を調査した。2015年度の売上高合計は1兆1,560億9,400万円(前年比1.5%増)と2年連続で増加したが、業種により明暗が分かれた。小売業は企画製造から販売まで手がけ、競争力を高めている。一方、卸売業はインターネット通販の台頭で取引ルートが細り、製造業も価格競争や海外の生産コスト上昇などで苦戦が続いている。今回の調査では、好調の大手小売業と苦境の卸売業、製造業という対立構図が鮮明となったとしている。

 686社の2015年度の売上高合計は1兆1,560億9,400万円だった。前年同期より180億9,200万円(前年比1.5%増)増加し、2年連続で売上高合計は前年を上回り、靴業界の市場規模は拡大している。

 業種別の2015年度の売上高合計は、「製造業」が2,920億5,200万円(前年度比0.5%増)、「卸売業」が3,102億7,000万円(同0.5%減)、「小売業」が5,537億7,200万円(同3.3%増)だった。大手小売業は、新規出店効果やプライベートブランドの展開により、増収を確保した。

 「小売業」の前年比3.3%増に対し、「製造業」は0.5%増にとどまった。「卸売業」は0.5%減と二極化の傾向が強まっているとしている。

 全体の2015年度の利益金合計は、413億2,600万円(前年度比9.0%増)だった。前年(379億300万円)より34億2,300万円増加したが、2013年度(466億5,800万円)からは53億3,200万円減少した。

 業種別の2015年度の利益金合計は、「製造業」が57億5,500万円(前年比33.1%増)、「卸売業」は15億7,600万円(黒字転換)、「小売業」は339億9,500万円(同0.1%増)だった。2015年度の利益金合計は3業種ともに増益だったが、2013年度の水準を下回っており、利益環境は依然として厳しい。

 686社の2015年度の売上高別では、1億円未満が247社(構成比36.0%)と約4割を占め、次いで1~5億円未満218社(同31.7%)と続き、5億円未満が全体の約7割(同67.7%)を占めた。

 一方、50~100億円未満が16社(同2.3%)、100億円以上は19社(同2.7%)で、50億円以上は全体の5.1%にとどまった。靴業界は小・零細規模の企業を中心に構成されていることがわかるとしている。

 686社の2015年度の売上高では、「増収」が239社(構成比34.8%)、「減収」が321社(同46.7%)だった。また、「減収」と「横ばい」を合わせると447社(同65.1%)と6割を占めた。2015年度の売上高合計は前年比1.5%増と伸びており、売上高上位の増収企業が全体をけん引したことがわかるとしている。

 686社の従業員数別では、5人未満が265社(構成比38.6%)、次いで10~50人未満が213社(同31.0%)、5~10人未満が134社(同19.5%)の順だった。100人以上は41社(同5.9%)にとどまり、10人未満は399社(同58.1%)と約6割を占めた。

 業歴別では、50~100年未満が305社(構成比44.4%)で約4割を占めた。次いで、10~50年未満が237社(同34.5%)、100年以上が37社(同5.3%)、5~10年未満が27社(同3.9%)の順だった。業歴50年以上の老舗企業が342社(同49.8%)と約5割を占める一方、5年未満は2社(同0.2%)と、靴業界は極めて新規参入の少ない業界であることがわかった。(編集担当:慶尾六郎)