東京商工リサーチによると、2016年上半期(1-6月)の「太陽光関連事業者」の倒産は31件(前年同期比24.0%増)で、2000年以降では上半期ベースで過去最多を記録した。年間ベースでも過去最高だった2015年の54件に次いで、すでに2013年、2014年の各28件を抜いて過去2番目となった。
2012年7月に導入された再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)の固定価格買い取り制度(FIT)を契機に、業態転換や法人の新規設立が相次ぎ、太陽光関連事業に多くの事業者が参入している。だが、買い取り価格の段階的な引き下げや事業者の乱立による競争激化を背景に、事業が立ち行かなくなるケースが相次いでいるという。
2000年以降、年間倒産で最多は2015年の54件だった。同年の上半期(1-6月)は25件だったが、2016年同期はすでに31件に達しており、過去最多ペースで推移している。2016年上半期(1-6月)の負債総額は176億3,200万円(前年同期比18.6%増)だった。年間ベースで最多を記録した2015年(1-12月)の負債総額は213億5,500万円で、このままで推移すると過去最高を上回る可能性が高いとしている。
負債額別では、1億円以上5億円未満が最多で14件(構成比45.1%)だった。次いで、1千万円以上5千万円未満が7件(同22.5%)、5千万円以上1億円未満が6件(同19.3%)と続く。
2016年上半期に発生したすべての企業倒産4,273件では、1千万円以上5千万円未満が最も多く構成比で53.6%(2,291件)を占めた。太陽光関連事業者の倒産は、設備等への先行投資もあるため全業種よりも負債規模では大型化しやすい傾向にあるという。
原因別では、「販売不振」が最も多く16件(構成比51.6%)と半数を占めた。次いで、「事業上の失敗」7件(同22.5%)、「運転資金の欠乏」と「既往のシワ寄せ」各2件(同6.4%)と続く。
2016年上半期に発生したすべての企業倒産4,273件では、「事業上の失敗」の構成比は4.9%(211件)で、これと比較すると太陽光関連事業者の「事業上の失敗」が突出している。これは注目市場として規模拡大が見込まれ、一部企業が実現性を欠いた安易な事業計画で参入した結果、業績の見込み違いから倒産するケースが多いことを示しているとしている。(編集担当:慶尾六郎)