東京商工リサーチによると、2016年7月の「東日本大震災」関連倒産は7件(前年同月7件)だった。2016年3月以降5カ月連続で1桁台で推移し、収束傾向に変化がないという。ただし、累計件数は震災から5年を経過して1,741件(7月31日現在)に達した。
事例としては、観光みやげ品販売の田村商店(TSR企業コード:220040168、法人番号:4410003001545、秋田県)がある。同社は、創業が明治30年頃とされる老舗企業。観光みやげ品などの卸売を行い、地元の観光ホテル、みやげ品店などを販売先としてピーク時には約13億円の売上高を計上した。しかし、東日本大震災以降は観光産業が冷え込み、業績が悪化した。平成27年2月期の売上高は2億5,000万円まで落ち込み、赤字経営から債務超過に陥っていた。厳しい業況を改善させることができないまま破産を申請した。
震災関連倒産は1桁台が続き収束傾向が目立つが、長らく事業停止にあった状態から法的整理に踏み切る企業もみられ、今後もこうしたケースが発生する可能性があるとしている。
また、震災関連倒産は1桁台が続き収束傾向が目立つ。この一方で、依然として震災の影響から抜け出せない企業がまだみられ、傷痕の深さを物語っているとしている。
2016年7月の地区別は、四国3件、関東2件、東北2件だった。東北は岩手と秋田だった。「震災関連」倒産の累計1,741件を都道府県別でみると、最多は東京の532件(7月2件)。次いで、宮城142件、北海道82件、神奈川71件、福岡70件、千葉67件、岩手66件、茨城64件、群馬58件、栃木51件、静岡48件、福島46件、山形45件、大阪44件、埼玉43件と続く。直接被災地の東北6県の倒産件数は353件(構成比20.2%)だった。
「震災関連」倒産の累計1,741件を産業別でみると、最多は宿泊業・飲食店などを含むサービス業他の460件(7月3件)。次いで、製造業が393件(同ゼロ)、卸売業が322件、建設業が214件、小売業が160件と続く。被害型で分類すると、「間接型」1,589件(構成比91.2%)に対して、「直接型」は152件(同8.7%)だった。7月は「直接型」が1件(岩手)発生した。(編集担当:慶尾六郎)