NYダウはマイナス圏から引け前に買い直され7ドル高。7日朝方の為替レートはドル円が93円台半ば、ユーロ円が126円台半ばで円安の勢いも一服。高値警戒感もあり日経平均は57.43円安の11406.32円で始まり、午前10時台以降はおおむね11300円台で推移した。終値は106.68円安の11357.07円で、前日の416円高や為替を考えると上昇相場が少し息をつく踊り場というところ。TOPIXはプラスの時間帯が長く、終値も+0.36の969.18で続伸した。アジア市場が軟調で先物中心に利益確定売りで日経平均が下落する一方、時価総額の大きい銀行株など大型株から中・小型株まで幅広く買われTOPIXを下支えした。特に中型株指数は4.03ポイントの上昇を見せた。売買高は今年最多の51億株で40億株超えは4日連続。売買代金は2兆7716億円で2兆円超えは6日連続で、株式市場のにぎわいは日々増している。
海運、不動産、証券、紙パルプ、自動車、陸運、建設などの業種が買われ、精密、機械、保険、食品などの業種が売られていた。
大商いだったのがマツダ<7261>で、売買高は7億株、売買代金は2170億円で、どちらもみずほ<8411>を抑えて堂々の1位。値上がり率でも34円高で11位に入った。個人投資家の低位株人気に加えて最終黒字を260億円に上方修正した前日の決算内容が良かったためだが、株価が300円を超えたので低位株はもう卒業か。自動車株はアジアでトラック販売が好調で6年ぶりの最高益になる模様と報じられたいすゞ<7002>が5円高で富士重工<7270>も続伸したが、トヨタ<7203>もホンダ<7267>も値動きなしで日産<7201>は下落した。
SCEが「PS4」を年内に売り出すと報じられ決算発表直前だったソニー<6758>は38円高で大きく上昇。売買高8位、売買代金3位に入った。パナソニック<6752>は18円高。シャープ<6753>は1円安だった。
JAL<9201>やJR3社、京成<9009>など運輸関係が好調で、大手ゼネコン3社が後場に相次いで決算を発表し、サプライズはないものの清水建設<1803>が13円高、鹿島<1812>が14円高、大成建設<1801>が13円高と市場の反応は良かった。決算がらみでは、純利益69%増の三井不動産<8801>は61円高、営業利益14%増、経常利益25%増の古河電工<5801>は19円高。主力の石巻工場が震災から完全復旧し最終黒字74億円になった日本製紙<3893>は177円の大幅高で値上がり率8位に入っている。NTT<9432>が「フレッツ光」が伸び悩み営業利益2%減にもかかわらず140円高と買われたのに対し、クボタ<6326>は純利益10%増で通期業績見通しを上方修正したにもかかわらず、42円安と反落した。
値上がり率2位に入ったのは決算で通期見通しを上方修正した新電元工業<6844>だったが、1位はベンチャーキャピタルの日本アジア投資<8518>で、売買高ランキングでも9位に入ったが、前日終値72円からの30円高で典型的な低位株デイトレ対象である。
一方、デジタルカメラで苦戦し、通期の純利益を下方修正する決算を発表して投資判断の引き下げが相次いだニコン<7731>は売買代金7位と売り浴びせられ、一時ストップ安になる500円安で値下がり率1位。日経平均のマイナス寄与度も1位で20円押し下げた。寄与度の大きい銘柄ではキヤノン<7751>、ファーストリテイリング<9983>、ソフトバンク<9984>が大幅安。値下がり率2位にはこれも決算内容が悪かった楽器のほうのヤマハ<7951>が160円安でランクイン。今週すっかりおなじみの豊和工業<6203>は4位、石川製作所<6208>は7位で、両銘柄は4日連続で値上がり、値下がりどちらかのランキング10位以内に入っている。8日のランク入りは中国、北朝鮮次第か。
今日の主役は、日経新聞朝刊でアメリカ産の輸入が3月にも解禁になると報じられた「シェールガス」関連銘柄。海外のLNG出荷基地の超低温保冷工事で実績がある明星工業<1976>は18円高、LNG貯蔵用タンクの技術を持つ石井鐵工所<6362>は11円高、同じくトーヨーカネツ<6369>は22円高、採掘用工業ガスを生産する大陽日酸<4091>は19円高、ガス輸送用パイプを作る丸一鋼管<5463>も123円高と買われた。昨年12月にガスタービン発電機の事業を統合すると発表した三菱重工<7011>は11円安。日立<6501>は1円安、前日にシェールガスをこの日9円高の三井物産<8031>と13円安の三菱商事<8058>から調達すると発表した東京電力<9501>は値動きなしだったが、北米産シェールガスは中東や東南アジア産の天然ガスより価格が約3割も安いといわれ、大飯以外の原発の停止、資源価格の高止まり、円安進行の中、火力発電のコストが下がることが期待されている。(編集担当:寺尾淳)