日本経済団体連合会の榊原定征会長は28日までの記者会見で働き方改革について「経済界としても、安倍内閣と同様に働き方改革を最大のチャレンジの一つと認識している。とりわけ長時間労働の是正を重要課題として捉えている」と語った。
この中で、榊原会長はノー残業デーの徹底、深夜残業の原則禁止、テレワークの活用、職場・個人単位での年休の計画的付与、子どもなどの休みに合わせた年3日程度の年休の追加取得など、具体策を示した「働き方改革宣言」を、経済4団体を含む62団体で採択したとし「経営トップ自らが意識改革することで、長時間を前提とする働き方など日本の職場環境や企業風土を変えていきたい。政府と一体となって取り組んでいく」考えを強調した。
一方で、同一労働同一賃金の実現には「日本特有の雇用慣行に十分留意しつつ、不合理な待遇差を是正することが重要」と雇用慣行への留意を重視した対応を求めている。榊原会長は「日本の場合、ある一時点で同じ労働であったとしても、賃金は将来的な役割や仕事への貢献に対する期待などを反映しており、これをどう評価するかが問題」とし「はわが国産業の競争力の源泉であり、尊重しなくてはならない」と主張。
そのうえで「正社員の待遇を下げるのではなく、正規化や賃金、手当等により非正規社員の処遇を改善することで、不合理な賃金格差の是正に取り組んでいく必要がある」との考えを示した。
また、長時間労働の是正についても「現行の36協定では無制限に残業できる枠組みとなっており、上限規制を含めて見直しを行う方向性は間違っていない」としながらも「見直しに当たっては労働者の保護と業務の継続性という二つの観点から検討する必要がある。業務が滞るようなことになってはいけない」とした。
また「予算策定の時期や新製品開発の山場など仕事には繁忙期・閑散期の波がある。こうした実態を踏まえた形で、上限のあり方について議論を行う必要がある。これを無視して、一律的な決め方をしてしまうと経済の実態に大きな影響が出る」とし、一律的な決め方は経済実態に影響が出ると、当然ながら経営側の論理展開をしている。(編集担当:森高龍二)