節電へのニーズから、電力消費量の削減や自家・自社発電への関心が急激に高まった近年。LED照明や住宅用太陽光発電機器に関しては、普及が進み商品が充実、価格も低下傾向にある。一方で、同様のニーズがありながら、LED照明や太陽光発電機器程の爆発的普及を見せてこなかった蓄電システム。この蓄電システムの普及が本格的に始まりそうである。
太陽光発電システムの大手である京セラは、太陽光発電に蓄電システムを組み合わせた新システムの受注を4月1日から開始。通常は安価な真哉電力を蓄電し昼間に利用することで、太陽光で発電した電気の売電量を増加させる、いわゆる押し上げ効果が期待できるシステムであり、かつ、停電時には自動的に蓄電池からの電力供給に切り替わるという。さらに、晴天時であれば、太陽光発電システムの自立運転機能によって、太陽光で発電した電気を利用できるため、長時間の停電にも対応が可能だという。
またNECからは、24時間365日の遠隔サポートを実現したクラウド対応型の家庭用蓄電システムを発売。通信機能により常時クラウドに接続して、システムの稼働状況のデータをサーバーに蓄積し、監視できるだけでなく、家庭の分電盤と接続することで電力会社の電力供給システム(電力系統)や、家庭内機器、太陽光発電システムなどと連携し、充放電双方向の自動制御が可能になるという。加えて、本体を家屋の側面に設置する為の小型化を実現。冷却用のファンも不要とすることで、静音化も実点している。
この4月からは、「定置用リチウムイオン蓄電池導入促進対策事業費補助金」と称する蓄電システムの導入に対する経費補助の制度がスタート。個人事業主を含む個人に対しては上限を100万円とし、その範囲内で機器費の1/3を補助、法人に対しては上限を1億円として機器費及び付帯設備費・工事費の合計額の1/3が補助される。始まったばかりの制度で認知度が高いとは言えないが、一般家庭及び事業所等で定置用リチウムイオン蓄電池の普及が広がることは間違いないであろう。
シード・プランニングの調査によると、2011年度出荷見込で蓄電容量約23482kWh、売上規模は156億円。2020年度には既築住宅市場を中心に広がり、2011年度比約40倍の935MWhにまで拡大すると見られている。新築住宅でも、既に上記NECの蓄電システムを採用した注文住宅の販売を開始するなど、太陽光発電システムと組み合わせた蓄電システムの導入が始まっている。家電と同様、一家に一台、蓄電システムを装備することが常態化する時代が来るのかもしれない。