日本のパチンコ関連市場が縮小の一途をたどっている。市場調査とマーケティングを手掛ける矢野研究所が、パチンコ機メーカー、パチスロ機メーカー、周辺設備機器メーカーなどに対して4~7月に実施した調査によれば、2015年度のパチンコ関連機器の市場規模はメーカー売上金額ベースで1兆1334億円となり、前年度比91.9%、1001億円のマイナス成長となった。なかでもパチンコ関連機器市場でのメインとなるパチンコ機の15年度市場規模は6130億円、前年度比94.0%となり、4期連続のマイナス成長となった。同様に15年度のパチスロ機市場も前年度比86.5%の3697億円と大幅に縮小。14年度に続き2ケ年度連続のマイナス成長となった。パチンコ機とパチスロ機を合わせた遊技機の市場規模は合算で1兆円を超える大型市場であったが15年度には9827億円となり、1兆円の大台を割るかたちとなった。
市場規模縮小の背景には昨年より厳しくなっているパチンコ機・パチスロ機に対する規制の強化がある。射幸心を煽るギャンブル性の高いパチンコ機・パチスロ機の導入が禁止され、現行のパチンコ機・パチスロ機についても順を追って撤去することが決定している。依存性が軽減されたこともありパチンコ人口が大幅に減少(15年のパチンコ人口は前年比80万人減の1070万人)。昨年には全国のホールで不正パチンコ台を設置しての営業が常態化していた事実が明らかとなり、自主回収を段階的に行っていることから従来通りに新機種を購入する余裕のないホールが出てきていると考えられる。
併せて日本でのカジノ誘致に向けて、風営法上・刑法上でのグレーゾーンのまま放置されていきたパチンコ業界の三店方式(出玉を景品に交換し、店舗の外にある別業者により換金するシステム)に対する風当たりもきつくなってきている。9月20日に公開された、内閣府消費者委員会のソーシャルゲームのアイテム現金売買(RTM)に対する意見書「スマホゲームに関する消費者問題についての意見~注視すべき観点~」では、あくまでソーシャルゲームに対して「利用者が換金を目的としてゲームを利用しているかどうか」により、場合によっては刑法上の「賭博罪に該当する可能性が高くなる」と言及している。パチンコの違法化を望む声も多く出てきており、パチンコ業界はまさに過渡期、業界の動向から目が離せない。(編集担当:久保田雄城)