矢野経済研究所では、国内のパチンコ関連機器市場の調査を実施した。調査期間は2016年4月~7月、調査対象品目はパチンコ機・パチスロ機等の遊技機、周辺設備機器。調査対象企業:パチンコ機メーカー、パチスロ機メーカー、周辺設備機器メーカーなど。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査を併用した。
2015年度のパチンコ機の市場規模は6,130億円(メーカー売上金額ベース)となり、前年度比94.0%の減少推移となった。遊技機の規則(日本遊技機工業組合による内規)変更に伴ってパチンコ機の新規リリース(発売)が停滞したことが大きく影響した。また、現在の営業の主軸となっている高射幸性のパチンコ機が 2016 年末を期限に全国のパチンコホールから撤去されるため、ホールのパチンコ機入替が様子見状態になっていることもパチンコ機市場規模縮小の要因となっているとしている。
パチンコ機市場規模が縮小する一方で、パチンコ機の開発コストは年々高騰しているが、現状以上の開発投資は非効率、もしくは無意味との見解が多く、品質向上を重視しつつも、効率性を重視した開発費の抑制が始まっている。一部ではパチンコ機価格の値上げが断行されたが、パチンコホール経営企業の経営状況からすれば、今後は低価格帯の製品提供がパチンコ機メーカーに強く求められていくと考えるとしている。
2017年の年明けからは、現市場を支えている高射幸性のパチンコ機が無い状況でのホール営業となる。確実にパチンコ部門での収益は低下するため、必然的にホール経営企業のパチンコ機購入はより慎重に、より厳選したものになる。販売ロットがさらに低下することが予測され、パチンコ機メーカーにおいては機種単位でも赤字を出さない厳格なコスト管理が今後の必須能力となるという。
2015年度のパチスロ機の市場規模は3,697億円(メーカー売上金額ベース)となり、前年度比86.5%の大幅減となった。2014年度に引き続いてパチスロ機市場規模は前年度割れとなった。パチンコ機市場の低迷の反動からパチンコホール経営企業ではパチスロ機への投資が続いていることに変りはないが、2015 年度は過度な射幸性を抑制すべくパチスロ機の規則も変更となったことから、各パチスロ機メーカーの新規則対応への遅れもパチスロ機市場規模の縮小に影響した。
2015年度の周辺設備機器市場の市場規模は1,506億円(メーカー売上金額ベース)となり、前年度比98.0%となった。パチンコホール経営企業の新規出店やリニューアル、経年劣化によるリプレイスが需要の契機となるが、厳しい営業環境が続くなかで2015年の新規出店数は221店舗と、新店需要やリプレイス需要は心もとない状況であった。その一方で新規出店の総数は少ないものの一店舗あたりの規模が大型化する傾向にあり、そのため、周辺設備機器の案件規模も大型になっている。
しかし、全体の新規出店数が減少傾向にあるため、案件数自体が減り、周辺設備機器メーカー間での格差が拡大しているという。2016年度は、需要の大きな契機となる新規出店数は更に減少すると予測し、周辺設備機器市場は非常に厳しい状況にあるものと見ている。(編集担当:慶尾六郎)