今年7月の参院選で、安倍晋三総理は「衆議院を解散しない代わりに、参院の改選議席の過半数を得ることで国民に信を問いたい」と選挙を戦った。それにも拘らず、この時期に来年1月にも総選挙するかのような発言が自民党内からあがり、国会質問でも俎上にあがる。
そもそも数百億円もかけ、国民に信を問うべき喫緊課題があるのか。安保法制、原発政策を争点にする選挙はありかもしれないが、2018年12月までの任期を2年近く前倒しして問うべきではない。諸々の政策に専念することこそ求められているはず。
野党が懸念している稲田朋美防衛大臣も、大臣就任前の過去の雑誌対談で、核保有を検討すべきとした発言とは違い、臨時国会答弁では「非核3原則をしっかり守る」と防衛大臣としての立場を明確にした。子ども手当てを防衛費にとの過去の発言にも、大臣としては「社会保障政策、子育て政策、財源を見つけて充実させていくべきである」と答弁した。
また11月に派遣する南スーダンPKO活動部隊に安保法制に基づく『駆けつけ警護』や『宿営地の共同防護』任務を付与するかどうかも、自ら南スーダンに足を運び、状況を見極め、政府全体として判断していくと、慎重に判断する考えを示したうえで、7日、南スーダンに向かった。南スーダンの政府関係者と意見交換もする。
そんな中で、来年1月に総選挙を期待するかのような見方には、納得できる根拠が見当たらない。むしろ、この時期の解散・総選挙は、衆院選挙改革で小選挙区0増6減、比例区0増4減となる前に(法案は順調なら来年の通常国会に提出され、法案成立に伴う公布後、過去の最短事例では1カ月後には施行もあるため)国民をカヤの外に『現職議員延命のための党利党略選挙』としかとれない。
また自民党は党大会を3月にやる。党則を変更し「安倍総理1強」の中で「総裁任期を3期まで」とすることの正当性を得る選挙にでもしたいのかと穿った見方しかできない。
都議選は来年7月にあるが、総選挙は来年12月以降に、新しい区割り定数の下で実施すべき。来年1月解散には党利党略以外の何もみえない。やるべきでない。
自民党の二階俊博幹事長は7日の会見で、6日に安倍総理と会食され、総選挙の話が出たそうだがとの記者団からの質問に「みんな聞き耳立てているところを、総理と幹事長が何にも言わんわけにはいかんでしょう?そういう準備をしなきゃいかんが、みんな早くも準備していますよ、ということは、大いに結構なことだということを申し上げておきました。総理は笑っていました。そういうことです」。意味深だが、解散はすべきでない。(編集担当:森高龍二)